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ボリビアに法的措置を=国際司法裁に提訴か=世界が注視するブラジル外交=ペトロブラスを強制接収?

2006年10月26日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十五日】ボリビアのモラレス大統領が同国におけるペトロブラスの権限を二十八日で打ち切る決定を下したことでセウソ・アモリン外相は二十四日、国際法に基づき相応の対処を講じると表明した。これは、国際司法裁判所で対決する可能性を示唆したといえそうだ。ボリビア政府が天然ガスの一方的な国有化宣言を発表し、ブラジルの産業に電力トラブルのリスクを引き起こしかねないことを鉱動相は認めた。エネルギー関係機関の技官らも、電力危機の到来を懸念している。
 アモリン外相は、ボリビア政府の資源国有化宣言に伴う一方的な対処を、ブラジル政府が容認しない旨声明を発表した。決選投票前夜の二十八日を以って、ペトロブラスの事業活動を閉鎖する一方的措置に、法を以って報いる所存であることを外相は表明した。
 ブラジルとボリビアの両国は、加害者でも被害者でもないし、主人と奴隷でもないと外相は述べた。ボリビア政府の一方的な命令に、黙って従うわけにも行かない。国有化宣言に盛られた期限について、延長も求めない。双方の対話による合意を求める。
 両国関係は協調を重んじ損害をもたらしてはならないが、話し合いによる解決は困難が予想される。ボリビア政府の通告は、国有化宣言を自分勝手に直訳したものだ。通告には対話によって合意が得られない場合、強制退去を命じるとなっている。
 通告は選挙前夜を期限とし、拒否すれば“時限爆弾が破裂する”という脅迫状である。このボリビア手法は、同国内で資源採掘に就労する下請け二十社への通告でも、同様の時限爆弾方式が取られた。命令を拒否すれば、軍隊が来て強引に引きずり出すというもの。
 ペトロブラスはボリビア政府とこれまで、対話による交渉を続けたが何一つ合意に至っていない。同国政府は、理不尽な契約書を作成し署名を強制した。合意すれば無期限に同国内の資源開発のチャンスを与えるが、保留事項は一切ボリビア政府の判断に従うというもの。しかし期限が、モラレス大統領の政治的基盤次第で決まるいい加減なものなのは明白だ。
 モラレス大統領は電話で一次選の直後、ルーラ大統領に通告と同様の内容を打診してきた。外相はそのとき、ブラジルは報復も恫喝もしないが、法的に断固たる措置を講じると決めた。この措置は、過激派やボリビアを押さえ込む特効薬である。
 ブラジルが南米外交でリーダーシップを取ることは、容易ではないとハーバード大学のマックスウエル教授がいう。貧困と偏見の塊であるボリビアは、頭痛の種だ。米国が北半球の象なら、ブラジルは南米の象。象は多数の子象を従える必要がある。南米スペイン語圏の子象は、ブラジル象に従うのを嫌う。
 ブラジルが安保理常任理事国入りを試みたとき、アルゼンチンは陰でジャマをした。ブラジルはボリビアで、帝国主義者とか植民地主義者と呼ばれている。ブラジルで米国を帝国主義者と呼んだグループが、どう変化するかが見ものだ。