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命名最多は「マリア」=古来の簡素な名に戻る傾向

2006年10月27日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十二日】生まれてくる子供の命名が、簡単で短かく、発音がし易いものに様変わりしてきている。市民登録の専門機関がサンパウロ市および近郊の登録所を調査比較した結果、二〇〇〇年でのランキングはトップから三位までがマリア、アナ、ジョアンで、一九四〇年のマリア、ジョゼー、アントニオとほぼ同じ古来の名前をつけていることが判明した。
 この三位までのトップグループは歴代の登録で名前が消え失せることがなく、ブラジル人の代表的名前になっているものの、一九九〇年ではマリアがトップテンに名前がなく、ジョアンは七位と下っている。わずかにアナが同じく二位を保ち、人気の高さを示している。
 識者によると、この風潮は発音がややっこしい名前とくに外国語カブレが廃止され、ブラジル的なものが好まれるようになったのが背景にあると指摘される。六〇年代までは教会で洗礼を受ける際に命名される聖人の名が多かった。聖人にあやかり健康と好運を願ったもので、女子はアナあるいはマリア、男子はジョゼー、ジョアン、ペードロだった。
 時代が経つにつれ、この傾向は薄れたものの根底には根強いものがある。最近では聖人の名に二番目の名を付けて合成するのが、流行になっている。例えば今月九日にサンパウロ市内で生れた赤ちゃんは、ジョアン・ヴィクトルと名付けられ聖人のジョアンに母親の祖父の名を取り入れた。また十一日に生れた赤ちゃんはアナ・ルイザで、両親が好きなトム・ジョビンの曲〃ルイザ〃を命名したという。
 いっぽうで命名から外れた名前もある。ポルトガル人の名に多いセバスチョン、マノエル、ジェラルド、ベネジタなどだ。またテレビタレントや俳優の名を命名するのも多い。典型的なのがアメリカの歌手のマイケル・ジャクソンで、発音を間違えないように「MAIKO」と登録する疑った父親もいる。
 ブラジルでは出生届が自由なためにできる業で、ポルトガルやフランスでは出生届の名前は一覧表で限定されていて、当てはまらないと受け付けられない。各年代の名前のトップテンを以下列記するが、変遷が一覧できて面白い。
 二〇〇〇年はトップから順にマリア、アナ、ジョアン、ガブリエル、ペドロ、ルッカス、ジュリア、マテウス、ギリェルメ、グスターボ。
 一九九〇年はルッカス、アナ、ガブリエル、マテウス、ブルノ、ラリッサ、ジョアン、ジェツシカ、ブルナ、レオナルド。
 一九八〇年はジョゼー、アナ、マリア、ラファエル、チアゴ(THIAGO)、ジュリアナ、ジョアン、レアンドロ。
 一九七〇年はマリア、ジョゼー、アナ、マルコ、パウロ、マルセロ、カルロス、ルシアノ、パトリシア、アレシャンドレ。
 一九六〇年はマリア、ジョゼー、カルロス、ルイス、パウロ、ジョアン、アナ、アントニオ、ベネジット、ロザンジェラ。
 一九五〇年はマリア、ジョセー、アントニオ、ジョアン、アナ、ジョルジェ、ルイス、カルロス、パウロ、アンジェラ。
 一九四〇年はマリア、ジョゼー、アントニオ、ルイス、アナ、ジェラルド、ジョアン、ベネジッタ、セバスチョン、マノエル。