サンパウロ日伯援護協会(酒井清一会長)傘下の日伯友好病院が先端医療検査機器を更新することに決まった。二十六日に開かれた同協会主催の定例理事会で、賛成多数で承認された。購入費用の総額は一億円以上。来年六月ごろの導入を予定している。計画中の援協福祉センター(仮称)に関する進捗状況も説明され、設計案を複数の設計事務所に依頼することが報告された。
同病院を担当する菊地義治副会長の説明によれば、更新されるのは磁気共鳴画像診断装置(通称MRI)。この装置は磁気と電波を用いて、体内の臓器や組織のほとんどを自由な角度から調べることができる。
購入費用は二百一万八千百五十三レアル。「病院の運営資金から購入できる範囲」と説明された。アメリカの大手企業ジェネラル・エレトリコ(GE)社製で、受注生産のため来年六月ごろに導入される。
現在の機器は九年間つかっており、昨年から故障することが多かった。そのため同病院で患者が必要な検査を受けられないで、他の病院を紹介せざるを得ないこともあった。
検査時間は現在の半分となる約二十分。「今より二倍以上の患者さんを検査できる」。
日本円にして総額一億円以上となる導入費に関しては「四年間の検査で原価をとれる」という。
理事会ではこの他、総合診療所が援協本部の福祉としての法人登録から独立して、個別に医療を目的にした法人登録を申請することになったほか、やすらぎホームの敷地内に建設を予定している書類保管所の施工会社が吉井建設に決まった。
また、加藤英世工務委員会副委員長から援協福祉センター(仮称)の設計案を六つの設計事務所に依頼することが発表された。後日開かれる専門委員会で最も優れた案を専門家を交えて採用する運びと説明された。
その際に一部の理事から、以前の理事会で承認済みの同地の購入手続きや建設予定案に関して「いつの理事会で承認されたものなのか」、「診療所移転後には現在の場所をどうするのか」などの質問が出るなど、理事間で強く意見を述べ合う場面もみられた。
同センター建設案を中心になって進めている援協関係者は、「現在の診療所が手狭などの理由で患者から不満の声があがっている点や、高齢化が着実に進む日系社会の現実を踏まえて、将来的にも必要になるため」と建設の理由を話している。
1億円の先端機器導入=援協理事会=センター設計案作成へ
2006年10月28日付け