【エスタード・デ・サンパウロ紙二十九日】サンパウロ市東部シダーデ・チラデンテス区で二十八日午前六時ごろ、大工兼家具販売業の男(四二)が不倫相手の愛人(三一)を射殺した上で、自殺する事件が発生した。 男は二十六日夕方から愛人と別居中の妻をピストルで脅して自宅に閉じ込めていたことから、通報を受けた警察が警官一〇〇人余りを出動させて包囲し、人質解放と身柄引渡しの説得を重ねた。しかし三〇時間に及ぶ説得に男は応じず、悲劇の結末となった。
妻は開放されたが、暴行を受けた模様で顔がはれあがっていた。警察では妻から動機や中での談話内容の事情聴取を行うが、傷の手当と気が動転していることから、後日に回された。愛人が妊娠二ヵ月だった上に、夫がいることから、別れ話がこじれたものと見られている。
別居中の妻が、何故話し合いに加わったのかも謎とされている。現場には警官のほか、物見高い群集二〇〇人が集まり、普段は閑静な所が混雑した。ホットドックの移動屋台も出店する有様だった。
関係者の話を総合すると、男は今年始めに妻と別居、その時点で既婚の愛人と不倫を重ねた。妊娠を知った愛人が、男を訪ねたのが事件の発端となった。愛人は出産するにせよ、別れるにせよ金を出させるのが目的で、この話はこじれたと見られている。
愛人の夫が二十六日夜、妻を迎えに行ったところ、男がピストルを四発撃ったため警察に通報した。男は警官らの説得に耳を貸さず、また母親や息子との話合いにも応じなかった。男の姉の電話には応待したが、死を覚悟した口ぶりだったという。
愛人夫婦には一〇歳の男の子と七歳の娘がいる。夫は娘の誕生後、手術で子供ができない身体になっていた。それでも妻を許し、夫婦生活を続けるつもりだったと述懐している。
不倫関係を死で清算=愛人を射殺し自殺=30時間の説得にも応じず
2006年10月31日付け