戦後移民、コチア市在住の藤原康弘さんは01年に栃木県の鬼怒川温泉のホテルでデカセギしていた時、「中国人の若者にナイフで刺されて危うく殺されそうになった」という。
外国人ばかり40人も詰め込まれたアパートで、2階に住む中国人が職場で日本人上司に注意されたのを恨んで、夜中に就寝中の藤原さんを果物ナイフのようなもので襲い、驚いて腕を伸ばして避けると、刃先が頬に突き刺さった。白い布団にダラダラと血が広がり、病院に運び込まれた。
でも、派遣会社の担当者から「警察には届けないでくれ」と頼まれ、自分で倒れて怪我したことにして治療を受けた。3回に分けて計3年間のデカセギ生活を送ったが、それがキッカケで辞めた。
帰伯して自宅庭を早朝掃除していたら、ブラジル人3人組がきたので「道を尋ねにきたか」と思ったら、拳銃を突きつけられた。家の中の妻に「強盗だ、警察を呼べ!」と大声で叫ぶと賊は逃げていった。同様の事件は再び起きたが、やはり助かった。
「ブラジルは良いところなんだけど、治安がね…」と眉を曇らせた。(深)
■ひとマチ点描■〃九死に一生〃3回も
2006年10月31日付け