【エスタード・デ・サンパウロ紙三十一日】ルーラ大統領は十月三十日、生まれ変る第二期新政権に向けて政治改革運動を開始した。先ずこれからの議会運営に伴いPMDB(民主運動党)やPP(進歩党)、PDT(民主労働党)、PTB(ブラジル労働党)、PSB(ブラジル社会党)へ役職を引き換えに政局の運営協力を求めた。また野党に対しても対話を希望するなら、応対の用意があると表明した。大統領はネーヴェス・ミナス知事とセーラサンパウロ州次期知事を招き、新政権と対話チャンネルの設置を提案した。
ルーラ大統領は連立与党の党首を招き役職の配分について意見交換をするが、議席数に応じた振り分けはないと釘を差した。続いてカンポス(PSB)ペルナンブッコ州知事と昼食、その後カブラル(PMDB)リオ州知事と会う。
PT所属の閣僚は減るが、一騎当千の陣容を揃える考えだ。辞意を表明しているフルラン産業開発相には、留任を求める。他にジャッテネ元保健相のような無党派閣僚も多数迎える。また野党のカルドーゾ前大統領やセーラ次期知事、マシエル上議(PFL=自由前線党)、レンボサンパウロ州知事も招き、政治改革について話し合う。
新政権は世界がグローバリゼーション時代を迎える中、イデオロギーや政治手法、ヴィジョンでお互いに軌道修正を行う必要があると、ジェンロ憲政相が述べた。野党の面々を大統領府に招くのは、政治家や元大統領としてではなく、ブラジルの将来を考える責任者としてであるという。
ブラジルの発展を論じるには、イデオロギーや信念、政治倫理、方法論を超越した対話が必要であることは論を待たない。政治改革には従来の政局運営ではなく、連立党のほか野党の協力も必要であると大統領は考えているようだ。
ブラジルは早急に、解決しなければならない三つの問題がある。選挙資金と政党綱領、党公認候補である。この三つが、予算編成と組んで汚職や公金横領の原因になっている。新政権では、この悪習を排除したいと願っている。
行政府の問題は政府が原因ではなく、政府と党の軋れきである。そのため行政府は、党によって煩わされてはならない。党の軋れきによって狼狽する行政府を、議会に持ち込んではならない。党の議席数は、行政府の官僚数に比例しない。これが二期政権のいう民主政治の生まれ変りだと、憲政相が述べた。
ネーヴェス知事は政府の呼びかけに応じ対話の門は開くが、汚職体質には門を閉ざすと弁明した。新政権は生まれ変わるというが、政治倫理はどう回心したのか示せという。同知事はブラジル発展への協力はやぶさかでないが、発展プロジェクトの陰でコソコソと何をするのかである。
ミナス州にはかつて、多数のジャグンソ(用心棒)がいた。有名なジャグンソ・リオバウドはいった「悪魔は出発時と帰着時にはいない。旅の途中にいるのだ」といった。ルーラ大統領も再選成就で、調子に乗ってはいけない。問題発生は、政権運営の途中で起きるとけん制した。
大統領の政治改革始動=二期政権は対話の時代=連立党と野党を招く=「再選で調子にのるな」
2006年11月1日付け