ブラジル療育音楽ボランティア協会(ABVM、山下忠男理事長)主催の「第十八回ドレミ音楽会~AMOR QUE TOCA~」が二十九日、サンパウロ市ペーニャ区のゴールデン・ハウスで開かれた。知的障害者施設や老人ホームの入所者が一生懸命に練習した歌や楽器演奏を披露した。
療育音楽(赤星式音楽療法)は、音楽を使って楽しく心身の健康と機能の回復や維持、老化予防を目指す治療法。楽器を演奏したり歌を歌ったりすることで、精神的にはストレス発散を促し、身体的には日常あまり使わない筋肉や関節などを使うことが無理のないリハビリテーションにつながる。
同協会では、赤星式音楽療法の研修を受けたボランティアが希望の家、サントス厚生ホームなどの日系福祉施設や、ペーニャ身体障害者センター(CENHA)、タトゥアペ高校(COLEGIO TATUAPE)、グァルーリョス・APAE(父母・友人知的障害者協会)などのブラジル特殊学校を定期的に訪問し、指導を行っている。
今年の音楽会には、一年間習ってきた成果を披露しようと希望の家、サントス厚生ホームCENHA、APAEから入所者約二百五十人が参加した。スズや太鼓、タンバリン、カスタネット、バケツなどを用いた楽器演奏や歌が一曲終わるごとに、会場からは大きな拍手が起こった。
休憩時間には、エリカ・ペドロンの歌や、レキオス芸能同好会のエイサー太鼓の披露もあり、会場の盛り上がりも最高潮に。
会場には、沖田豊穂在サンパウロ総領事館領事、野末雅彦JICAサンパウロ支所次長なども訪れ、参加者を応援する姿もあった。
また、サンパウロ市ボーイスカウトグループ・カラムルー隊(CARAMURU)が会場の手伝いや、地下鉄から会場までのバスの運搬を手伝っていた。
ABVMの副理事長で赤星式音楽療法士、渡辺英子さんは、「皆さん昨年よりも頑張って演奏していました。すごく立派でした」と感想を話し、「この活動を始めて子どもの行儀が良くなってきたと生徒のお母さんから聞いています」と療育音楽の成果を挙げた。
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【ブラジル療育音楽ボランティア協会】
一九八三年、故吉田善亘こどものその園長の熱心な要請により赤星建彦氏が来伯し、福祉数施設の職員やボランティアを指導した。
その二年後、赤星氏が再度来伯した際、吉田氏の働きかけで、こどものその、希望の家、サンパウロ日伯援護協会の三団体によりブラジル療育音楽ボランティア協会(ABVM)を設立。赤星氏はその後も数回ブラジルを訪れ、施設職員やボランティアに指導を行っている。
去年よりも頑張った=250人が練習成果を披露=ドレミ音楽会
2006年11月1日付け