【エスタード・デ・サンパウロ紙十一月三日】二〇〇六年がまだ終了していないにもかかわらず、デング熱の年間死亡数で今年は、二〇〇二年に次ぐ史上二番目を記録した。二〇〇二年に爆発的に全国にまん延したのを機に、年々撲滅運動が展開されているにもかかわらず、その効果は年毎に一進一退を続けている。
予防ワクチンがいまだに開発されていないことから、媒体となる蚊の棲息環境を撲滅するのが唯一の対策となっている。蚊は一月から五月の夏場で雨量が多く湿気が上がる時期に繁殖するため、保健省では例年行われる撲滅キャンペーンの「Xデー」を今年は今月十八日に設定して運動に取り組むことになった。
とくに死亡のほとんどを占めるリオ州は、環境が蚊の繁殖に適していることから予防に大わらわだ。来年七月に開催を控えているスポーツのパンアメリカ大会がデング熱発生の時期に当るため、場合によっては中止に追い込まれる可能性も含まれている。
これにより、二〇一四年開催のサッカー・ワールドカップの開催地に名乗りを上げていることに対しても関係者の心証を害すると危惧されており、撲滅は至上命令の様相を呈している。
保健省が発表したところによると、デング熱での死亡者は今年九月までに六一人となり、二〇〇二年の一五〇人に次ぐ史上二番目となった。これまでの経緯は二〇〇〇年始め、病菌が発見された時点で五人、二〇〇一年は二九人。
二〇〇二年のまん延の後、撲滅運動が展開されたが、二〇〇三年は三八人、二〇〇四年は八人、二〇〇五年は四五人と一進一退が続いた。
発病件数は二〇〇二年の七九四件、二〇〇一年の四二八件、二〇〇三年の三四一件に対し今年は二七九件だが、残り三ヵ月間で上昇するのは必至と見られている。
今年九月までの発病は南東部が多く、とくにサンパウロ州が四万三三〇〇人で最高となっている。昨年同期が五五〇〇人だったことから七〇〇%の上昇率となった。リオ州では昨年同期の一八〇〇人から二万九三〇〇人となり、上昇率が一五〇〇%で全国一となった。
セアラ州が三万四二〇〇件で二位、リオ州に続いてゴイアス州(二万六八〇〇人)、ミナス・ジェライス州(二万六六〇〇人)となっている。リオ・グランデ・ド・スル州とサンタ・カタリナ州は発生率ゼロ。両州で発病四〇〇件が登録されたがいづれも他州で罹災して移り住んだ「輸入病」だった。
ブラジルでは三種類のデング熱が存在するが、ベネズエラやフランス領ギアナおよびペルーで四番目の病菌が発見されていることから、ブラジルへの侵入は時間の問題だとして、保健省では神経をとがらせ防止のための水際作戦を展開する意向を示している。これにともない各家庭で蚊が繁殖しないため、水たまりを無くすよう呼びかけている。
デング熱の勢い衰えず=死者は史上2番目=蚊の繁殖期迎え撲滅対策へ
2006年11月4日付け