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公社の二重帳簿罷り通る=会計検査院が公表=数字の差は36倍にも=空費浪費の隠れミノか

2006年11月7日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十一月五日】連邦会計検査院(TCU)は四日、連邦行政関係情報システム(Siafi)に表れた数字と、公社が提出した決算書に大差があることを公表した。Siafiでは上下両院の要請に基づき、公社十社のデータ・バンクが管理される。資源調査公団の二〇〇五年の決算書では、二三二万六〇〇〇レアルの借入金に対して、報告書には八八一一万四〇〇〇レアルとされ、誤差は三六八八%に上った。公団の粉飾決算が明白となったことで、TCUは〇八年までに事実関係の確認を国庫庁へ求めた。他に連邦貯蓄銀行や社会経済開発銀行(BNDES)も問題を指摘された。
 Siafiと公社八社の資金流通で、明確な誤差が明らかとなった。TCUは〇五年に十公社のうち四公社で、職員の給料未払いや経常費の未決済など不審な未決済処理が行われたことを突き止めた。八社はSiafiの数字と、全然かみ合わない決算書を提出していた。
 行政機関の経理を監査する国庫庁に、TCUは公金横領を回避するための早急かつ必要な措置を要請した。Siafiと公社の間で生じている誤差について何ら解明の手が打たれないならば、公団の二重帳簿は公然の秘密となる。TCUは虚仮にされ、法律は無用の長物となる。
 TCUは長い間、公社の経理処理について不審を抱いていた。TCUのアギアール総裁から公社の粉飾会計疑惑を質す公文書が手交され、初めて二重帳簿が明るみに出た。出入金の会計処理に疑惑が及んだのは、連邦貯蓄銀行やBNDESも同じである。
 貯蓄銀行の二〇〇五年度営業益は、Siafiによると四億二八〇〇万レアル。しかし、同行は二〇億七三〇〇万レアルの営業益を計上した。差は三八四・三%。Siafiのつかんでいない資金が動いているからだ。
 Siafiに入ったデータでは、貯蓄銀行のBNDESからの受け取り勘定が、一五一億八五〇〇万レアル。決算書には三八五億五〇〇〇万レアルとなっている。これはSiafiそっちのけで、同行が一人歩きしている証拠といえそうだ。
 海運プロジェクト公団は、年度純益をSiafiに六一四万レアルと報告し、決算書には九八〇万レアルを計上した。都市鉄道公団は流動資産が一一一万レアルと報告し、決算書には八三万レアルと計上。これらの数字は、公団が勝手に債務を起し、国家予算の枠から外れて経費をばら撒いているからだ。
 財政責任法によれば、Siafiのデータに従って放漫会計を告発できる。しかし、連邦貯蓄銀行やBNDES、郵政公社など株式公開をしていない場合、Siafiの指図を受けない。これら公団は決算書を提出するだけでよいのだ。
 デタラメ決算書を提出する抜け道があるのは、他に国立病院や保健省管轄下の研究所など。決算書にはSiafi管轄外の経費で計上してはばからない。TCUは財政責任法に抵触するというが、それなら債務は次年度へ繰越しと涼しい顔でいる。現実と法令の求めるところを上手に使い分けている。