【エスタード・デ・サンパウロ紙十月七日】ブラジル民主運動党(PMDB)親与党派は六日、ルーラ新政権の組閣に当たり、閣僚数の増員と予算編成への参加、全国規模の知名度を有する人物の入閣を要求することを決定した。最も関心を抱いているのは保健省、続いて運輸省である。またマルタ・スプリシ元サンパウロ市長(労働者党=PT)のために都市開発相を提案する考えもある。PMDB親与党派は、大口予算が動くインフラ部門と社会福祉部門に政治基盤を築く考えのようだ。予算編成で大口予算を確保し、全国規模の政治活動を展開することを目論でいる。
第二期ルーラ政権の組閣に当たりPMDBの役割振り分けは、大統領の決定待ちとなった。PMDB親与党派は、大統領府への道をつける考えでいるらしい。新政権では政策の企画から立案、決定に至る全段階で政府中枢部の作業に関与し、影響力を発揮する魂胆といえそうだ。
同派はこれまでの政策から閣僚の質を向上させるよう、ルーラ新政権に提言した。PMDBは片足を社会福祉分野に、もう片足を運輸分野に置こうと考えている。PT内で競っている都市開発相の席にマルタ元サンパウロ市長を据えて、貸しをつくる考えだ。大統領は現在メクラ飛行だとして提言に逆らう可能性を否定した。
大統領府がロゼアナ上議に保健省入りを打診したことで、議会は蜂の巣を突ついたような騒ぎである。上院のPMDB親与党派は、ロゼアナ保健相決定のつもりだ。下院のPMDBは、親与党派の単独行動に反発した。自由前線党(PFL)を離党したロゼアナ上議は、無党派でPMDBとは何の関わりもない人物。それが甘い汁だけをさらうのかというのだ。
新政権の組閣工作は、幸先の悪いスタートとなった。下院では、カリェイロ上院議長(PMDB)とサルネイ上議(PMDB)の茶番劇であると反感を持たれている。テメルPMDB党首は、判断を党執行部に一任すると両上議の独走劇に幕を下ろした。大統領からPMDBへ入閣の招待はあったが、特権を一部議員が独り占めにするのかどうか、成り行きが注目されている。
PMDBは最大党でありながら、難しい党である。大統領府は対話の窓口拡大を狙っているが、新しいチャンネルを開くことにPMDB親与党派は危機感を抱いている。ジャデル・バルバーリョ派やジェデル・リーマ派などが台頭し、独自の親与党派を形成するからだ。
PMDBへの保健省提供は、動かないらしい。上下両院の親与党派は党の柱になることができ、党を掌握できる人物の入閣を望んでいる。フェリペ下議(PMDB)入閣の噂があるが、入閣後の鞍替えが予想される。コスタ通信相(PMDB)も入閣後に離党の噂がある。
ルーラ大統領は連立与党の権益要求よりも、インフラの未整備と国道の穴ぼこが心配だ。サルバドールで四日間休暇を取ったが、インフラ整備で頭が一杯だった。休暇明けは直ちに運輸相と鉱動相を呼び、工事中のプロジェクトに発破をかけるよう命令する。大統領も現地を視察に行く。
PMDB=新政権組閣に触手動かす=保健相と運輸相要求=大口予算確保し勢力拡大へ=マルタ元サンパウロ市長をヨイショ
2006年11月8日付け