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◇コラム 樹海

 秋篠宮さまの取材でパラグアイを訪れ、その日系社会の若さに驚かされた。大半の日本人会代表が戦後移住者で六十歳前後。ブラジルの平均年齢よりも十歳ぐらい若いと感じた。さらに二世層リーダーも三十代から四十代であり、こちらよりも一世代以上若い▼特に二世の日本語のうまいことに舌を巻いた。まるで日本の若者と話をしているかと錯覚するぐらいだ。しかし、ある二世から「パラグアイの二世はスペイン語ができないのが多い」と興味深い指摘を聞いた。「移住地では、家庭でも仲間内でも日本語ばかり。農場では、パラグアイ人使用人と会話するのはグアラニー語。スペイン語は学校でしか使わないから」と説明▼真偽のほどは不明だが、かつてブラジルでもそのような世代があったから想像はできる。逆に、それぐらい強固な共同体でなければ、一般社会からの圧倒的な同化圧力に推されて、継承語は二世代と経たずに消えていく▼ブラジルでは文協内に青年部を作り、後継世代を育てようとした。しかしパ国では、一世中心の日本人会とは別に、二世中心のセントロ日系を組織して会館を独自に建設、九月の七十周年記念式典はそこで挙行した。各々独立しているが協力して祝った形だ。「同じ団体内だと一世が中心になり、二世の好きなことができないから」だそう▼紆余曲折こそあったが、日本的特質を教育に活かす日本パラグアイ学院も〇一年に設立された。強力なリーダーシップの賜物だ▼ブラジルを他山の石として対策を練ってきたと、日会関係者は口をそろえる。百周年を迎える我々だからこそ、隣国に学ぶ謙虚さがあってもいいと感じた。(深)

2006/11/08