【エスタード・デ・サンパウロ紙八日】サンパウロ州組織犯罪捜査局誘拐捜査課はサンパウロ市内で七日、九月二十五日以来、誘拐・監禁されていた二十八歳の女子学生を救出、保護した。
内偵を続けていた同課は主犯格の二人の身許を割り出して逮捕、罪を軽減する司法取引を条件に被害者の解放を説得、犯人はこれに応じて留置場から電話で被害者の見張りをしていた仲間に解放を命じた。捜査陣の地道な勝利となった。
犯人らは、ほかの誘拐犯グループから被害者を「買い受けて」身代金を要求していたと供述していることから、複数の犯行グループが同一被害者をたらい回しにする新手口に発展するおそれがあると見て、同課は裏付捜査を急いでいる。
犯人らの供述によると、誘拐した第一グループは家族から四万レアルの身代金をせしめた後に、第二グループに被害者を「売却」したという。当局では第三、第四のグループが現れると被害は雪だるま式に増えていくと警戒している。
被害者は九月二十五日、サンパウロ州スザノ市の学校から帰宅途中に誘拐された。父親はサンパウロ市西部ピリトゥーバ区に不動産を有し、エヴァンジェリコ教会の牧師で裕福なことから狙われた。犯人らは当初、サンパウロ州ポアー市の農園に監禁、ここで家族から四万レアルの身代金をせしめている。被害者によると、手足に鎖をはめられて、家族に送りつけるために頭髪を切られたという。
第二グループに売却されたことで、監禁場所はサンパウロ市内東部のファベーラに移された。ここで犯人らは耳たぶの一部を切断し、家族に送りつけた。この間、捜査課は犯人二人を逮捕し、監禁場所を急襲したが、被害者は見張番の夫婦によってほかの場所に移されていた。
主犯の解放命令を受けて被害者は七日午後八時半ごろ、サンパウロ市南部サコマン区プレジテンテ・タンクレド・ネーヴェス大通り上で解放された。弟からの通報を受けた捜査課員が現場に急行して無事保護した。被害者は切断された耳たぶの手当のため病院に収容された。
誘拐被害者を「売却」=身代金せしめた後に=女子学生、司法取引で解放
2006年11月9日付け