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大統領=PT閣僚削減の意向=PMDBは倍増か=議会対策に与党結束強化=汚職の黒幕が根回し

2006年11月10日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙九日】ルーラ大統領は八日、第二期政権の組閣人事は要となる最重要ポストを労働者党(PT)が確保したことで、ブラジル民主運動党(PMDB)やブラジル労働党(PTB)、進歩党(PP)、共和党(PR)を主体とする中間派起用で組閣し、PT閣僚は減らす意向を明らかにした。人材育成と内容強化が火急の課題であり、予算編成で最優先扱いとなっている教育省については、フェルナンド・アダジ氏(PT)の教育相留任は揺るがないようだ。各党も方針を了解、近日中にも組閣が始まる模様だ。
 PT党員の機嫌を損なわないよう、大統領は党の体格に相応しい組閣人事を行うと声明を発表した。総選挙の得票数に比例した組閣を行うならば、最大党のPMDBに上座を譲らざるを得ない。主人の座を得たPTは、議会対策のためPMDBなどの連立与党に囲まれることになるという。
 アダジ教育相の留任は、ポルトガルから呼び寄せられブラジルに永住したドン・ペドロ一世に匹敵すると述べた。生徒が先生に教師として滞在するよう熱望するので、大統領からアダジ先生にPTへ滞在するように願ったというのだ。いわば、十一月八日は「アダジの日」。
 新閣僚は一月一日、第二期政権をスタートする。新連立内閣は、全く新しい発想のもとに組閣。従来は連立与党から起用した閣僚のもとに、PTの次官をスパイ役に据えた。今回は、寄せ集め部隊のフルーツ・サラダ内閣ではない。
 ルーラ大統領は、政権の正念場ともいうべき一致協力内閣にし、腹の探り合いは止めてお互い真面目に話し合う実力主義の現実的内閣にするよう所望した。
 マスコミ内閣は、極力排除する。テレビや新聞に誰が入閣し、誰が更迭とまことしやかに報道する。迷惑千万だと大統領は抗議した。八日は州知事が続々と、大統領府を訪ねた。議会と大統領府を隔てている通りを横断するのは、雲の上を歩いているようだと各々がいう。しかし、閣僚を推薦する知事はいなかった。
 PMDBの政治参加は、上下両院執行部へ伝達された。問題児ジャデル・バルバーリョ下議の登場で、カリェイロ上院議長とレベロ下院議長の留任が音沙汰されている。バルバーリョ下議は往年、PTから汚職の黒幕と呼ばれた。昨日の敵は今日の友で、ルーラ大統領のPMDB根回し役に起用されるらしい。
 同下議のサジ加減で、物事が決まることになりそうだ。実力主義は与太者起用という陰口もささやかれる。PMDB閣僚は、従来の三人から一挙に六人になる見込み。とかくツンボ桟敷に置かれたテメルPMDB党首も、飲み仲間に招かれるようだ。PTはPMDBを頼りにしている。PTB以下の連立与党はオマケと見ているらしい。
 テメル党首のホンネは最高裁判事への就任だが、PTが高等裁長官でどうかと打診。同党首は二〇〇七年三月にPMDB党首を辞して下院議長を狙うらしい。PMDBは群雄割拠するところで、党首はストレスを貯めている。今回の地方選でPTに貸しがある下議は、代償を求める。