【エスタード・デ・サンパウロ紙九日】九月度の経済成長がマイナス一・四%になったのを受けて、一向に改善されないドル安レアル高の為替相場に改めて避難が集中している。為替相場は実勢を反映していないとの指摘が多数を占めていたが、財務省筋ではここにきて初めて対応を表明、業界別に対策を練ることを明らかにした。
同省では今年の経済成長率を下方修正して三・七%としているが、ブラジル地理統計院(IBGE)が今月末に発表する第3四半期の統計を待って、総合的に検討するとの意向を示している。
これに対しルーラ大統領は八日、技術系の教職員の集会で演説し、九月度のマイナス成長に関連して「悪い月もあれば良い月もある」とした上で、現に十月度の自動車生産はプラス一〇%に達したとして、ブラジルの経済は成長傾向にあるとの楽観的姿勢を見せた。
為替相場については憂慮しながらも不利な条件をはね返す体力作りが必要だとし、インフラ整備とくに輸送網や港湾施設の完備が急務だとの考えを強調した。これにより国内投資が増えて産業界の競争力が増すとの見解を示した。さらに社会福祉をおざなりにした経済成長はあり得ないとの持論を再度披露した。
財務省ではドル安が直撃した五業界のテコ入れを検討する意向を示している。今年一月から九月までのマイナス成長業界は、木材関連(七・八七%)、衣料および装飾(六・七七%)、靴および皮革(三・四二%)、化学製品(二・三二%)、金属製品(二・三二%)、で、国内の累計平均がプラス二・七%だったことから、もしこれらの五つの業界がゼロ成長だと、国内平均は三・二%にまで上昇していた。
反面、ドル安で安価な外国産原材料のおかげでプラス成長を遂げた業界もある。それにともない収益も上がったことになる。事務用や通信用機器のメーカーはプラス五三・七三%、電化製品用機械は一一・九七%、医療用機器は九・三五%だった。まさに泣く人の裏で笑う人がいる現象だ。
金融アナリストらによると、輸出の減退と輸入増による外資流出で、二〇〇七年はドル相場が二・三〇レアルから二・五〇レアルで推移すると見ている。(八日の相場は二・一四レアル)。
経済成長への為替のインパクトはさることながら、公共支出の削減がより肝要だと指摘する向きも多い。
財務省、為替対策策定へ=成長の足引っ張ると=5業界中心に支援検討
2006年11月10日付け