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◇コラム 樹海

 六世になったら純血日系人はいなくなる──との意見がある。人文研が十八年前に行った実態調査によれば、三世の四〇%以上、四世の六〇%以上が混血だった。そこから推測して、五世なら八〇%、六世なら一〇〇%という意見だ▼十二分に含蓄のある推論だが、実際にそうかは分からない。コラム子はむしろ、「ある一定の割合まで混血が増加した後は、世代を重ねるにしたがい純血率が安定する」と考える。もちろん、安定する純血率が一〇%か、五%か分からない▼日系人が少ない国や地域の場合は、とことん混血しないと配偶者が見つからないので、六世で一〇〇%混血の確率は高い。だが、ブラジルのように全世界の日系人の半数以上を抱える地域は、純血同士でも十分に多様な配偶者の選択肢がある。ならば、純血人口がある一定の割合まで下がった状態で安定し、その割合のまま、日系人口全体が増加するサイクルに入る可能性もあると思う▼それを実現するには、百五十万日系人の中心に、強い親日志向を持つ子孫集団の〃核〃が形成されていることが条件だ。核や萌芽はすでにあるのかもしれない。百周年はその強化策を練る良い機会だろう▼もしかして何らかの政治経済情勢の急変により、日本にデカセギしている三世とその子供世代数万人が、まとまって帰伯して新しい核を形成する可能性すらある▼日系社会の全体像を〃動態〃としてとらえ、次の百年に向けて、どの方向へ導きたいのかを明確にする必要がある。ただ手をこまねいて日系終末論を繰り返すばかりでなく、ダイナミックな待望論こそが期待されている。(深)

2006/11/10