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大耳小耳

2006年11月11日付け

 サンパウロ援護協会が「福祉センター」の建設を予定しているサンパウロ市リベルダーデ地区のファグンデス街に、日系福祉会館の名で建設を提案している聖南西文化体育連盟(森エーリオ会長)傘下団体の代表者が七日、同協会事務局を訪れ、援協関係者と二時間以上にわたる議論を交わした。代表者側は、「もっと天野氏の要望に耳を傾けてほしい」といったものにはじまり、天野氏がブラジルの設計家に依頼して作らせた設計の外案書を提出した。その設計代だけでも一万レアルはかかっているとか。それだけの金額。他の福祉施設に寄付したらどれだけ喜ばれるだろうか?
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 玉田正利さん以外にも成功者はいる。やはり今年創立十周年を迎えて、年商百億円を超える日系ブラジル人の企業といえば、国際電話サービスのブラステル(本社=東京、社長=田辺淳治・川合健司)が有名だ。創業が九六年一二月で、年間売上は約百三億四千二百万円、従業員は二百三十四人。在日外国人を中心に約五十三万人がユーザー登録する。在日ブラジル人が三十万人だから、国籍を超えて広く在日外国人から利用されている。こちらも文句なしに〃デカセギドリーム〃の実現者だ。たかがデカセギとあなどるなかれ。彼らは日本マスコミに認められた立派な名士だ。
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 新進気鋭のデカセギ問題評論家ともいえる、東京在住の日系三世アンジェロ・イシさんが十月十九日付けの中日新聞に文化コラムを書いた。外国人を「悩みの種」として迷惑がらず、むしろ社会に活力をもたらす「人材の宝庫」ととらえ直す、という発想の転換を進めた興味深い論だ。お膝元に日本最多のブラジル人人口を抱える愛知県を本拠とする新聞社だけに、その影響力は大きい。このような日系人見直しの動きが次々と起きてくれると頼もしいのだが。