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10時間に渡りバスジャック=暴力夫、妻に復縁蹴られ=身の安全条件に投降に応じる=リオ

2006年11月14日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十一日】リオデジャネイロ市ノーバ・イグアス区で十日午前、三十八歳の男が別居中の妻(36)を人質にして、四十人の乗客を乗せた州間バスを十時間にわたってバスジャックする事件が発生した。
 乗客や警官らの説得で男は投降したため、ケガ人は出なかった。人質となった妻はバスジャック以前に暴力をふるわれたことで軽傷を負い病院に収容された。
 過去二カ月間にサンパウロ市では痴情のもつれから三件の殺人事件が発生している。今回の事件も嫉妬に狂った前夫の仕業で、あわや四番目の犠牲者が出るところだった。いっぽうで家庭内暴力(ドメスティック・バイオレンス)の取締りの新法令が発令されたことで、暴力を振う男からの検挙が急増、刑務所が満員になる事態となっており、夫婦あるいは男女間の問題が社会問題化している。
 事件は十日午前八時ごろ、バス停で妻を拉致した男が通りかかったバスに乗込み、運転手をピストルで威嚇してバスジャックした。夫婦は結婚生活九年で、八歳を頭に三人の男の子がいる。二〇〇一年から男は酒と麻薬漬けになり、家庭内で暴力を振うようになり、そのために四カ月前から妻が家出して別居生活をしていた。男は復縁を迫ったが妻に断られ、逆上してバス停で暴力を振った後、バスに乗り込んだ。
 男は運転手にドゥトラ道を突っ走るよう命じた上で、乗客に対して非礼を詫び、危害は加えないと約束。ただ妻を射殺した後、自分も自殺することを宣言したという。乗客が携帯で家族に連絡し、警察に通報させた。軍警の特殊部隊が出動、同道にバリケードを張ったが突破された。二カ所目の大型トラックのバリケードでバスは停止した。
 男の持っていたピストルが暴発して床に向けて発射したため乗客に恐怖が走ったが、男は約束通り乗客を解放した。しかし車掌と乗客三人は居残り、少しずつ興奮が収まった男の説得に当った。男は数年前にリオ市内でバスジャック犯が警官に射殺されたことを引き合いに出して投降を拒否した。警官らが身の安全を保障したことで投降に応じた。これを受けて午後六時、警官隊がバス内に突入して身柄を取り押さえた。