経済成長組の天下到来=インフレの足音聞こえ出す
2006年11月15日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十月三十一日】「パロッシ時代の終焉」を宣言したのは、財務相や官房長官の考えを代弁したジェンロ憲政相である。同宣言は労働者党(PT)の禁句とされたが、経済成長組の天下が到来し、根回しは着々と進んでいる。
財務相は大統領の命令で支払請求書にメクラ版を押すだけで大統領の覚えもよく、留任が決まったと陰口をささやかれている。財務相は四年間、この調子でメクラ版を押し続けるのか関係者は心配している。
ルーラ大統領は、再選が確認されるや否や第一声は、貧困対策と経済成長、緊縮財政を公約した。その舌が渇かぬうちに、緊縮財政を経済成長へ訂正した。均衡財政は崩れ、インフレの足音が聞こえるのに、政府の放漫出費を棚上げにした。経費は投資に言い換えるつもりらしい。
政府経費は最終的に消費へ投入される。消費が過熱すれば、経済が循環する。要するにレッテルを貼り替えるのだ。大統領の言っていることは、問題解決ではなくゴマカシに過ぎない。国民は社会保障基金も含め、予算の流れをよく観察する必要がある。
大統領は経済成長を優先すれば、緊縮財政でクヨクヨすることはないと思っている。それは間違いだ。経済成長は緊縮財政の結果である。中央銀行の位置付けでも、大統領は勘違いをしている。中銀を財務省配下に組み込んだことは、経済成長優先と同時にインフレ再来の道を開いたのだ。
中銀の通貨政策に、経済成長を織り込むことを義務つけた。言葉は美しいが、この決定の陰には魔物が潜んでいる。インフレの手綱が多少緩むのは容認するという意味がある。政府の放漫財政が経済成長に拍車をかけると、インフレを助長するからだ。
大統領とジェンロ憲政相の間に、第三世界のリーダーという合言葉がある。最初に第三世界構想が浮上したのは、FTAA(米州自由貿易地域構想)が魅力的で、メルコスルを見捨てるつもりであった時だ。現在は事情が反転したが、大統領再選が実現したことで病気が再発した。これもインフレ助長に一役買う。