【アスンシオン発】「ぜひ一度訪問したいと思っておりました」。十一月二日午後五時、パラグアイの首都アスンシオンの人づくりセンターで行われた「在留邦人・日系人による秋篠宮殿下歓迎会」に駆けつけた約六百人の日系人を前に、秋篠宮さまはそう語りかけられた。
パラグアイには一九七八年に当時皇太子同妃両殿下であった天皇皇后両陛下、八六年には日本人移住五十周年に常陸宮同妃両殿下、さらに九九年に高円宮同妃両殿下がサッカー南米選手権を視察されている。今回の秋篠宮さまご訪問は四度目の皇室関係者訪問となる。
「親王ご誕生おめでとうございます。パラグアイ在住日系人一同、お喜び申し上げます」。最初にパラグアイ日本人会連合会の小田俊春会長はそうあいさつし、日本人移住七十周年を祝うために訪問された秋篠宮さまへの歓迎の気持ちを表現した。
現両陛下が最初に来パされた七八年は大半の移住地が未舗装で、ご訪問されたイグアス移住地はまだ自家発電だった。
「そんな中、移住者の生活に接してくださり、本当にありがたかった」と振り返った。さらに「両陛下によろしくお伝えいただくと共に、ぜひ近い将来、今度は紀子妃殿下と一緒に来ていただきたい」との熱いメッセージを送った。
殿下奉迎合同委員会の代表、アスンシオン日本人会の前原弘道会長は、七二年に当時のストロエスネル大統領(将軍)が訪日した時、前原さんの実父が同行したエピソードを披露した。「昭和天皇は大統領が乗った飛行機を空港まで見送りに来られ、飛行機が飛び立つまでいらっしゃった。普通はそこまで待たない、特別なことだと後から聞き、大統領は大変喜んでいました」。
このたびのご訪問に「特別のご温情、厚く御礼申し上げます」と礼をのべ、「日本民族の誇りをかけ、みんなで一致協力していく所存です」と熱く語ってあいさつをしめた。
これに対し秋篠宮さまは、両国はこれまで大変緊密な関係を培ってきたとし、「その良好な関係は、日本からの移住者と貴国の人々とのつながりが基礎にあるといえましょう。その意味で、移住者・日系人のみなさまは非常に大切な役割を果たしておられると思います」と高く評価された。「今後とも、みなさまには両国の良き架け橋となっていただくことを願っております」と述べられ、大きな拍手が会場から沸いた。
続いて、アスンシオンのリエラ市長は記念の「市の鍵」を贈呈し、「殿下が来られたことは、今までの七十年間に両国間に育まれた平和、勤勉、努力の賜物。二国間の友情は素晴らしいモデルである」と讃えた。
岩手県の伝統舞踊を伝えるアスンシオン鬼剣舞愛好会が見事な舞を披露。着実に日本文化が伝承されている様子に、秋篠宮さまは惜しみない拍手を送られた。最後にセントロ・ニッケイの小嶋紀博会長が閉会の辞をのべた。
お迎えに並んだ日本語学校生徒らに「大きくなったら一度日本に来てくださいね」と声をかけられ、子供たちは「はい」と大きな声で答える場面もあった。
日系社会あげ盛大に=秋篠宮さまご訪問を歓迎=パラグアイ
2006年11月15日付け