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「移民史勉強会」続く――JICA青年ボランティア引っ張る――参加者ら関心事を共有

2006年11月22日付け

 十月半ばの午後二時過ぎ、バラバラと人が集まりだし、机に揃ったのは七人。「じゃあ、今日は力行会のところからお願いします」。前回の内容と今後の進め具合を確認した後、参加者それぞれが調べてきた〃課題〃の発表を行う。
 飲み物や茶菓子が持ち寄られて、穏やかな雰囲気で勉強会は進む。「でも私が聞いてきた話ではね::」「こう書いてある本もあるけれど、本当のところはわからないと思うの」。参加者たちの討論が続く。
 ブラジル日本語センター(谷広海理事長)で月一回行われている「移民史研修グループ勉強会」。同会を引っ張っているのはJICA青年ボランティアの相澤紀子さん(31)だ。
 「自分で本を読むよりも〃分厚い〃ものが得られる」と相澤さん。
 勉強会が始まったのは昨年の四月。発端はボランティアの前任者がセンターの広報誌「A Cultura Japonesa」に、移民史を取り上げたいと考えていたこと。
 日本語教師らを中心に配られる同誌に移民史を載せることで「教えている人に知ってもらいたい。習う人にも伝えてほしい」
 前任者が実現できなかったため、相澤さんが引き継いだ。「せっかくだから勉強会形式にしたい」。
 「日本移民八十年史」(移民八十年祭典委員会発行)をもとに、笠戸丸からの時代を追ってきた。図書館へ向かい資料を探す、当時の人に会い、話を聞くなど、調べ方は参加者の裁量に任されている。
 勉強会でのふとした話が活動を広げるきっかけになる。昨年七月には参加者と映画「ハルとナツ」のセットを見学しに東山農場へ向かった。農業に尽力した人がいると聞けば、バスに乗って会いに行った。
 「移民史の中で取り上げるべきことは何なのか」。広報誌で紹介する内容、紹介の仕方を議論していく。「勉強会の結果が本に載る」ために真剣だ。
 「実際に体験した人の話が聞けたりで、本当に勉強させてもらってます」と相澤さん。来年一月には任期が終わり帰国しなければならないため、それまでに移民の通史を一通り終わらせたいと、計画作りに忙しい。
 今後は七〇年代以降の歴史と、「日本語教育」「コチア青年」「サンタクルス病院」などが研究議題に上がっている。
 「私が帰った後も本(広報紙)の発行は続くし、勉強会もメンバーを増やして続けていってもらえればいいな」。
 「興味があるもの同士、楽しみを共有できる場」と参加者の一人は話した。「自分の調べたことを報告する場がある。自分の抱えている疑問、考えをぶつけ共感できる輪がある」。
 次回の勉強会はあす二十三日午後一時から、日本語センター(Rua Manoel de Paiva,45 Vila Mariana)で開かれる。