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増える伯企業の対外投資=外資流入上回る=レアルの過大評価が拍車=魅力ない国内市場

2006年11月23日付け

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十二日】国内企業の対外国投資が外資の流入を上回り、伯企業の海外シフトが起きていることを業界関係者が二十一日、明らかにした。国内の生産部門は二〇〇六年一月から十月までの期間、前年同期比の二倍以上に当たる二二八億ドルを外国へ投資し、過去最高の記録を更新した。同期間における外資の流入は、わずか一三六億ドルに留まった。この生産拠点の移動は、ブラジル史に見られなかった初めての現象である。産業部門によっては、外国での生産活動に自信をつけたともみられる。またブラジルが為替政策の不在と低率経済成長で、外資にとって魅力が薄れたともとれる。
 公式発表によれば、二〇〇六年の外資流入予測額は一八〇億ドルとされるが、対外投資がそれを遥かに上回っていることは確かである。生産部門の海外シフトは国内産業の空洞化を示す、紛れもない事実だと業界関係者はみる。発展途上国間のパフォーマンス比較で、ブラジルは敗退したのだ。
 反面、企業によっては外国での営業活動に十分耐える実力をつけ、グローバルな国際市場でわたり合えるようになったことも意味する。同時に魅力が薄れたブラジル市場から、外資の流れが東南アジアへ移ったことも容易に伺える。
 ブラジルは、まだ発展途上国である。工業部門の生産性は低く、生産技術向上のために外資の導入を必要としている。ブラジルは外国投資の流れを心配するよりも、生産技術の向上に必要な外資の流入が減少したことを憂慮すべきだ。
 二二八億ドルの対外投資の中には、ヴァレ・ド・リオ・ドーセによるカナダのインコ買収という大きな買い物もある。ヴァレは数少ない採鉱専門企業だ。同部門での生き残りを賭けた大博打とされる。
 また、鉄鋼部門は国際的再編の時期にある。ブラジルは同部門での優位を確保するため、資本の集中投資を行った。ジェルダウ・グループは、世界ランクでもリーダー的存在である。続いてオデブレヒトやペトロブラスが、対外投資リストのトップに名を連ねている。
 外国投資に拍車を掛けたのには、レアル通貨の高騰である。レアル通貨が過大評価されているため、外国企業の株取得が容易である。ブラジルで企業買収を行うよりも、外国で割安に有望企業を取得することができる。このチャンスを逃す手はない。
 国内企業はブラジルに投資するより、割高のレアル通貨を割安のドル通貨に換えた買い物が有利である。発展途上国が為替優位を盾にグローバル世界に討って出るのは、ブラジルにとって自殺行為であるが、企業にとっては千歳一遇のチャンスである。政府の浅慮な無為無策が引き起こした現象といえる。
 経済の低成長は、資本市場の致命傷だ。世界の二〇〇五年度平均成長率が四・八%だったとき、ブラジルは二・三%と寝ぼけていたのだ。このような体たらくで、ルーラ大統領は続投するという。
 〇五年度世界の投資額は、二九%増の九一六〇億ドルに上った。しかし、対伯投資は一七%減であった。途上国の有望株は中国に奪われ、ブラジルは笑いものに成り下がった。