【エスタード・デ・サンパウロ紙二十四日】レンボサンパウロ州知事は二十三日、サンパウロ市内のメトロ(地下鉄)料金を現行の二・一〇レアルから二・三〇レアルに値上げすることを決定、同日付で州議会に通告した。実施は官報(ジアリオ・オフィシアル)で広報した後の二十八日を予定している。
先ごろ市内および都市間のバス路線の料金二・〇〇レアルの二・三〇レアルへの値上げが決定されたのを受けて、関係者の間ではメトロも同様の上げ幅の二・四〇レアルになるとの見方が大勢を占めていた。
州政府内でも二・四〇レアルの新料金がほぼ確実視されていたことから、同知事の決定は寝耳に水として動揺が走った。その一人の州交通局長はコメントを避けているものの、側近によると激しい怒りを見せているという。
いっぽうで、市当局は路線バスの値上げの実施を二十五日から二十八日へと延長した。これで三度目の変更。カサビサンパウロ市長によると、レンボ知事から同時値上げ実施を依頼され、これを了承したとしている。
これに対しサンパウロ市議会の野党筋は値上げ幅の根拠が不透明だとして、法務委員会にかけて司法介入で値上げを阻止する動きが出ている。また全国学生連盟は値上げを不服として抗議集会を開き、市交通局や市庁前にデモ行進して警官と衝突する騒動に発展するなど、値上げ騒動と混乱は長続きする気配を見せている。
サンパウロ州知事は州が管轄するメトロ、パウリスタ鉄道、トロリーバスを一率二・三〇レアルに値上げすることを決定した。前回の二〇〇五年一月からの値上げで、九・五二%の上昇率ながらこの期間のインフレ率六・四二%を上回る。
同知事は周囲の批判に対し、メトロ公社の収益に影響はない上げ幅だとし、最賃所得者の支出では十年前と同率になっていると強調している。メトロ公社が赤字に転じたら、セーラ次期知事が解消するだろうとの見解を述べた。これに対し野党労働者党(PT)側では技術的な分析を無視した政治的値上げだと反発している。
いっぽうでサンパウロ市当局も困惑している。メトロ料金がバスと同額になると、バスの乗客一日当たり五万人がメトロに流れ込むとみられている。これにより一年間三〇〇〇万レアルの収入減となり、現在の一二億レアルの二・五%に相当する。それでなくても現在一七〇〇万レアルの赤字を計上しており、痛手となる。
サンパウロ市議会の交通審議会は、値上げを不当として法務委員会に審議を要請するとともに、地裁に対して値上げ実施を三十日まで保留する仮処分の提訴を行った。市当局が提出した値上げ理由が不透明で、分析が必要というのが理由。
値上げ反対運動は市民の間でも広がっている。全国学生連盟のメンバー一五〇人が二十三日午前九時、セー広場で抗議集会を開いた後、市交通局と市庁に向けてデモ行進した。市庁前では内部突入を計ったが警官に阻止されたため、卵や石片を投げつけるなどして警官隊と衝突した。学生二人が検挙された。
地下鉄料金2・3レアルへ=28日から、バスと同額=野党や学生らが阻止に動く
2006年11月25日付け