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財政収支が10月に好転=黒字目標を達成=債務GDP比50%切る=出費増える残り2カ月

2006年11月29日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十八日】大統領選など予想外の出費で、今年度の債務一〇四億七〇〇〇万レアルの決済が危ぶまれていた財政収支は、十月期の緊縮財政により累計で九〇九億九〇〇〇万レアルの基礎収支黒字となったことを中央銀行が二十七日、明らかにした。この財政黒字は国内総生産(GDP)の五・三二%に相当し、目標であった四・二五%を悠に超えた。年末の二カ月は、十三カ月目給料や年金など特別出費の時期であるが、無事に年を越せる見込みと政府関係者は安堵している。
 公団の業績は、予想に反し目標を下回った。公団の年間目標は一七七億レアルの財政黒字であったが、十月までに累計で八九億七四〇〇万レアルしか達成できなかった。公団は二〇〇六年、業績不振のため政府の財政収支に貢献できないことを懸念していた。
 にもかかわらず、予算基本法(LDO)が定めた財政黒字目標六七八億レアルは、十月決算で政府と公団を合算し、六六二億レアルの黒字に及んだと中銀が発表した。十月締めの過去十二カ月間の累計でも八九四億四〇〇〇万レアル、GDP比四・三四%と目標を悠に突破している。
 マンテガ財務相は、残る二カ月で今年度の輝かしい総決算を行い、新スタッフの実力を疑問視する人々の目に物見せると意気込んでいる。基礎収支とは、金利の支払分を差し引く前の収支残高である。金利支払後は二七億九〇〇〇万レアルの赤字となり、過重な公共債務が相変わらず負担となっている。
 債務総額は九月に一兆三九〇億レアル、十月は一兆四二〇億レアルに増えた。しかし、GDP比では九月の五〇%から十月の四九・五%へと〇・四ポイント微減した。これは二〇〇一年四月以来の明るい珍事だ。
 ブラジル政府の債務決済能力が問われた二〇〇一年二月、債務総額のGDP比は四九・二九%であった。このような、国際金融から支払能力が疑問視されるような事態を繰り返してはならない。債務のGDP比五〇%は、国家経済の超えてはならない一線だ。
 十一、十二月は毎年出費が多い月で、十月のようには行かないと中銀はみている。特別歳入がなければ、GDP比は五〇・三%に逆戻りする。十月決算には、インフレの微上昇が債務のGDP比引き下げを手伝った。FGV(ジェトゥーリオ・ヴァルガス財団)の卸売り物価指数で、GDPは引き上げられたのだ。債務の絶対額は増加したのに、九月のインフレ率が目標率を上回り、債務の増加率が相対的に低下したのだ。
 今後基礎収支の黒字四・二五%に固守すれば、GDPに対する債務率は相対的に下降傾向をたどると中銀はみている。中南米のメキシコやチリと比較して、ブラジルはGDPが振るわないのに債務が多すぎる。チリは一七%、メキシコは四〇%以下と健全だ。
 ブラジルの借金が短期債務に集中しているのも問題。暫時決済しながら、長期債務へ交換する必要がある。金利支払のGDP比も七・七五%から七・六九%へ低下した。これは二〇〇五年九月に国際通貨基金(IMF)の債務を完済したお陰といえる。