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バス値上げ阻止運動拡大=学生ら、抗議集会にデモ=高い乗客のコスト負担割合

2006年11月29日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十八日】サンパウロ市内の路線バスが値上げとなるのを受けて市民の間で抗議とともに、これを阻止しようとする動きが広がっている。カサビサンパウロ市長が四度目の変更で実施を三十日に先送りしたことも、値上げ阻止運動に火をつける形となった。
 運動の急先鋒の全国学生連盟サンパウロ市支部は二十八日に大規模な抗議集会を開き、一五〇〇人以上の学生の参加を見込んでいる。中央労組(CUT)もこれに同調、二十九日に抗議デモを行うことを決定した。サンパウロ市議会の運輸審議会は来年度予算の審議に先がけ、市当局に対し、今回の値上げ理由と、バス会社のコストの明細を追及していく構えを見せている。
 運輸関係専門家によると新料金の二・三〇レアルは、市当局が公表したコスト二・六七レアルの八六%に相当し、乗客が支払う料金のコストに占める割合が世界で最も高いことになる。言いかえるとコストのほとんどを乗客が負担し、市の負担はわずか一四%に過ぎない。
 ドイツのフランクフルト市の乗客の負担率は四五%、ウイーンは四〇%、ストックホルムが三四%、パリが三三%、ニューヨークが三二%、アテネが二七%、アムステルダムが二五%で、残りは市の補助金や積立金でまかなっている。
 これに対しサンパウロ市交通局長は、同局の累積赤字が一七〇〇万レアルに達しているとし、外国とは台所事情が異なると弁解している。乗客の負担率は高齢者や身障者の無料乗車および学生割引を加味しているとした上で、レシフェやグァルリョス、サントアンドレ、カンピーナスの各市では一二〇%の負担率になっていると強調している。
 全国学生連盟サンパウロ市支部は、二回目となる抗議集会への参加を募るため二十七日、市内十九大学でパンフレット配布を行った。集会はパウリスタ大通りのMASP前で行われた後、サンパウロ市庁に向けてデモ行進を行う。カサビ市長との面会を求めており、拒絶された場合は市庁前と市長宅前で座り込みを行うとしている。
 またバスに乗って料金不払い運動を展開すると意気込んでいる。デモ行進には泡吹きスプレーを携行する。警官との衝突でガス弾に対抗する手段だという。
 CUTも同様のデモを計画。地裁前では値上げ阻止の仮処分執行の提訴を行う。またサンパウロ州検察にも不当値上げだとして値上げ理由の調査を申請する。