2006年11月30日付け
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十九日】選挙高等裁は二十八日、提出された選挙費用収支報告書から、ルーラ大統領の再選に一〇五〇万レアルの政治献金を捧げ、最も尽力したのは銀行であったことを明らかにした。銀行の高額献金筆頭は、イタウー銀行の三五〇万レアル。銀行業界は二〇〇五年、史上未曾有の営業利益二八三億レアルを計上し、ルーラ様々の大豊作の年であった。ルーラ大統領の選挙費用総額は一億四三〇万レアルに上り、民政に戻った一九八五年以来、最も高価な選挙となった。銀行はアウキミン候補にも同額を渡し、内股膏薬を演じたようだ。
ルーラ再選へ賭けた政治献金を業界別で見ると、銀行の一〇五〇万レアルを筆頭に、ゼネコンの一〇〇〇万レアル、鉄鋼の六二〇万レアル、鉱山の四五〇万レアル、飲料の三六〇万レアルと、業界と政権の蜜月関係が浮き彫りにされている。
ルーラ政権の高金利政策は、史上未曾有という大土産を銀行へもたらした。二〇〇六年上半期は、さらに二二二億レアルも儲けさせた。銀行はルーラ閣下に足を向けて寝られない。
銀行の政治献金は第一次投票前の九月、労働者党(PT)選挙事務所へ届けられた。アウキミン選挙事務所へは、万が一の捨て銭として決選投票の直前に渡した。これがルーラ第二次政権の産業地図とも読み取れそうな含みだ。
政権の御用商人ゼネコンの政治献金は、ルーラ候補へ一〇〇〇万レアル、アウキミン候補へ四八〇万レアル渡った。PTへ払ったゼネコン献金の中味は、カマルゴ・コレイアの三五〇万レアル、OASの一六〇万レアルなどである。
鉱山業界も、ルーラ候補に四五〇万レアルを肩入れした。ヴァーレ・ド・リオドーセだけで四〇〇万レアルだ。鉄鋼業界からルーラ候補への肩入れは、六二〇万レアル。中味は入閣が噂されるジェルダウ氏のジェルダウ・グループが三一〇万レアル。
第二次政権を支えるのは基幹産業であり、これが政商の顔といえそうだ。他に飲料のAmBevが一五〇万レアル、ペトロポリス七五万レアル、シンカリオール五〇万レアル、コカコーラ八八万レアルなどである。
ルーラ候補への政治献金リストで企業別筆頭は、オレンジ・ジュースのクトラーレ四〇〇万レアルだ。オレンジ・ジュースのマフィアが、カルテル訴訟で公正取引委員会(Cade)の懐柔作戦に出たらしい。一億レアルの罰金を科されたカルテルは、もみ消しを狙っている。
ルーラ候補への政治献金は、現職の強味が効を奏して四年間に一三三%と二〇〇二年の倍以上も増えた。二〇〇二年選挙には四四七三万レアルを集めたが、二〇〇六年は九四四三万レアルにも上った。
PTは、選挙の度に資金捻出の特殊部隊を編成する。電話やEメールで政府機関や関係団体、PT所属の地方自治体と関係を持った企業や個人に資金協力を命じ、拒否すれば報復を示唆する。ブラジル版紅衛兵である。