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コラム 樹海

2006年11月30日付け

 石油公社ペトロブラスは〇八年からエタノールの対日輸出を開始すると発表。三井物産と共同で、より効率的に生産する方法についての調査を開始──などとエタノール原料としてサトウキビが大きな脚光を浴びている。しかし、サトウキビを語る時、二人の日系二世、松岡静男さんと有薗秀人さんの多大な貢献があったことを忘れてはならない▼七月二日付けエスタード紙も二人のことを「砂糖きびの父」と呼び、一頁の大きな記事を掲載した。二人が砂糖アルコール院(IAA)の公務員として長い年月かけて開発したRB種は、現在市場の六〇%を占有する。だが、そのロイヤリティはまったく二人の懐には入っていない。二人は口をそろえて「〃大和魂〃で成し遂げたことを誇りとしている」と語り、清貧の鑑のような人生を送っている▼奨学金で勉強した松岡さんは「大学の恩義は金に変えられない」とすべて大学に寄付。この種で一ヘクタール当りの栽培が倍増するとともに、自然破壊が半減した。二人の研究が、経済発展にどれだけ貢献があったか計り知れない▼この二人に二十四日、山本喜誉司賞が授与された。同伴した非日系妻らは喜びのあまり、その場で大泣きしたと聞いた。二人が住むサンパウロ州アララスはほとんど日系がいない地区だ。日系社会の代表から華々しく顕彰される夫を見て、今までの清貧な生活への想いを新たにしたよう。思わずもらい泣きしそうなほど感動的な場面だったと、主催者も語った▼このような隠れた貢献はまだまだあるに違いない。百周年を機に、もっと掘り起こされ顕彰されるべきだとしみじみ思った。(深)