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麻薬密売で10人逮捕=富裕層の若者ばかり=愚息の悪行を父が密告=リオ

2006年12月1日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙三十日】連邦警察はリオデジャネイロ市で二十九日、合成麻薬のLSDやエクスタシーを専門に密売していた一味十人を麻薬取締法違反の疑いで逮捕した。さらにクリチーバ市(パラナ州)とポッソス・カルダス市(ミナス・ジェライス州)で再販していた二人も同じく逮捕、一連で計十二人となった。
 逮捕された一味はいずれも高級住宅街に居を構える富裕層の子弟で、平均年齢二十六歳の若者ばかり。これまでの麻薬犯罪と異なり、上流社会の子弟の無鉄砲な犯罪として注目されている。
 逮捕劇は九十人の捜査員が動員されたが、リオ市の高級住宅地レブロン、サン・コラド、バーラ・ダ・チジュッカの各区の高級住宅やマンションで、捜査員らは豪華さに目を見張ったという。ほとんどの家庭が犯罪に気付いていなかった。
 連警は五カ月間にわたる内偵で立件を確証して、逮捕に踏み切った。容疑者の住居が海岸線に散っていることから「津波作戦」と名付けられた。そもそもの発端は、一味の一人である若者の父親による密告だった。
 父親はいくら論しても息子がエクスタシーの常習から足を抜けないのを見て、思い余って警察に訴えた。息子が購入資金を得るため、密売人になったからだ。連警は父親の勇気ある行為を賞賛している。
 調べによると、一味はゴイアス州やサンパウロ州で仕入れた大麻を隠し持ってオランダに入国、そこでLSDやエクスタシーと交換してブラジルに持ち帰っていた。大麻一キロで一万粒のLSDが交換でき、国内でLSD一粒六〇レアル、エクスタシーのカプセル一個を五〇レアルで密売していた。売り上げは不動産購入に当てられた。
 これらはディスコやフェスタで売られることから、連警は若い捜査員複数を潜入させて実態を把握するとともに、一味を割り出した。逮捕と同時に一味名義の銀行口座と資産が差し押えられた。連警の評価によると、五〇〇万レアル以上に上るという。
 大半はリオ市内で売られているが、クリチーバ市の販売代理人は毎週二〇〇〇から三〇〇〇個のエクスタシーを一五万レアル相当仕入れては、同市で転売していた。ポッソ・デ・カルダス市で逮捕された出張販売人は市内の最高級ホテルに宿泊していた。連警では守秘として公表しなかったが、九月十九日にリオ市のトン・ジョビン空港でLSD二万粒(末端価格一〇〇万レアル相当)をオランダから持ち込もうとした一味の運び屋を逮捕している。