【エスタード・デ・サンパウロ紙二十七日】サンパウロ市内で家庭内の児童虐待が急増し、社会問題となっている。サンパウロ市暴力追放院によると、今年一月から十月までの警察一九一番への被害通報は五〇九三件に達し、昨年同時期の三七九一件と比し、二六%の上昇となった。これにより通報件数は麻薬の密告に次ぐ二番目のランキングとなった。
夫が妻に暴力を振るうドメスティック・バイオレンスを取り締まる法令が施行されて二カ月が経過し、その効果で被害が減少している中、児童虐待が増加していることで関係者は憂慮している。通報は氷山の一角で実数はかなり多いとみている。暴力を振う相手の仕返しが怖くて訴え出ないケースがあるからだ。このため前出法案同様の取締案の法文化を求める声が強まっている。
市当局では病院関係者や医師の協力を求めている。医師が収容された児童の傷の具合で、事故か暴力によるものかが一目瞭然であることから、虐待の場合は警察に通報するよう呼びかけている。これにより実数や虐待の実情を把握して対策を検討したいとしている。サンパウロ市内では唯一ジャバクァラ病院がこれを実施している。同病院は単に治療するにとどまらず、再発防止が肝要だと説明している。
急増する児童虐待=通報件数麻薬密告に次ぐ=サンパウロ市
2006年12月1日付け