ホーム | 日系社会ニュース | 全伯7移民史料館が合同会議=100周年合同企画話し合い=「写真で歴史綴ろう」=ほぼ合意=展示会と複製集づくり=資料整理法も学ぶ

全伯7移民史料館が合同会議=100周年合同企画話し合い=「写真で歴史綴ろう」=ほぼ合意=展示会と複製集づくり=資料整理法も学ぶ

2006年12月2日付け

 全伯にある七つの日本移民史(資)料館は、「第二回史料館会議」を去る十一月十七日、東山農場で開催した。日本移民に関する資料を扱っている関係者、約三十人が参加。日本移民百周年に向けて、史料館が合同しての展示会の企画、写真集の発刊について話し合われた。また、資料整理の方法の講演会も行われ、集まった参加者たちは百周年の企画実現に向けての協力を確認し、各史料館のさらなる充実を約した。
 今年、参加対象となった有志の史料館は、サンパウロ日本移民史料館はじめ、東山農場、レジストロ、ローランジャ、ペレイラ・パレット、バストス、トメアスーにある七館。
 昨年十一月に、史料館間での横のつながりを築くことを目的として、トメアスーを除く六施設の代表らが有志で集まり、一回目の会議が行われた。各史料館の現状と課題を報告。文協移民史料館、州立移民博物館を見学し、次回開催を決めた。
 今年の会議には、野末雅彦JICAサンパウロ支所次長も参加。トメアスーからの代表者はいなかったが、弓場農場、グァタパラ、カンピーナス、ブラジリア、インダイアツーバなど、移民に関する史料を管理、あるいは収集している各地域からも代表らが訪れ、意見交換に加わった。
 会議では、史料館ごとでの百周年に向けた取り組みなどが報告されたあと、文協史料館の大井セリア館長は「移民の歴史を、より細かいレベルで整理していかなければいけないことに気付きました」と課題をあげ、全史料館が合同して行う企画として、移民の写真集の作成と、合同展示会を提案した。
 文協史料館だけでも約一万枚の写真があり、他の史料館にもそれぞれの地域の歴史を移した写真がある。「全史料館で協力すれば、文字ではなく、写真で移民の歴史を綴ることができるのではないか」とセリアさん。
 展示会のやり方として、写真を持って全国をまわる巡回展示会と、同じ写真を複製し、七つの史料館で展示する同時展示会の二通りの方法が話し合われた。
 また「展示会の写真選定のために全ての写真を見るのなら、それを機会に本を作ってはどうか」と写真集作成の提案に広がった。
 計画を具体的に掘り下げることがこれからの課題だが、写真集や展示会についての意向がまとまれば、早急に委員会を立ち上げ、資金や実質的な方法についての検討を始めたいとしている。
 また、昨年の会議より課題となっていた、「所蔵資料の台帳が十分整備されていない」という問題に対して、JICAボランティアの中村茂生さんが「資料整理の方法について」講演し、セリアさんが資料の修復方法を実際に使用する和紙や箱、のりを示しながら説明した。
 「せっかく集まったのだから何か進めたい」と中村さん。根川幸男さんは「ブラジリア五十周年記念誌」の編纂委員会を代表して参加した。「史料館とまではいかないが、せっかく記念誌編纂で資料を集めるのなら、展示をしたい。聞いた話を持ち帰り、何かできれば」と熱意を語っていた。
 マリリア、リンス、アサイなど、史料館の開設準備を進めている地域もある。日系社会の資料をいかにまとめていくか、史料館の働きは大きい。