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コラム 樹海

2006年12月2日付け

 このところ地方自治体の腐敗と汚職が続く。福島県の佐藤前知事は、県の工事に際し業者に便宜を与え、和歌山県の木村知事も官製談合の疑いで逮捕されている。こうした不正に対し県民から不信の声が巻起こっているが、どうやらこの悪習は古いものらしく、根治は簡単ではないようだ。この2県に続き宮崎県出納長・江藤隆も「談合」の容疑で逮捕され、捜査の矛先は県政トップにも及びそうである▼この3県の汚職構造は、県が実施する工事への「官製談合」であり、まったく同じと云っていい。県庁幹部は工事に関する入札価格などを提供し、この情報を受けた請負業者は落札に成功する。勿論、業者は幹部らに政治献金などの方式で見返りを贈るという構図である。こうした県政の腐敗は「談合」だけではなく、岐阜県の「裏金」が話題になり県庁職員が大量に処分されたし、長崎県でも同じような事件が起きて批判の的に―▼岐阜県の「裏金」は前知事・梶原拓氏が始めたものらしい。建設省局長から副知事に転じ4期16年も県政を牛耳り確か全国知事会会長でもあった。知事を引退後に事件が発覚し、闇のカネは17億円だったそうだ。県庁の各課がくすねた資金を集め職員の宴会や飲食に使ったらしいが、何のことはない税金を盗んだようなものである。梶原氏は一部に名知事の評もあるけれども、やっぱり悪しき役人根性が根強い▼こうしたスキャンッダルが余りにも多いので国会も重視し「官製談合防止改正法案」をつくったが、それでも官僚は力強くも逞しく生き延びる。これは霞ヶ関の官僚史が雄弁に物語っている。(遯)