2006年12月5日付け
在日外国人向け健康保険会社のパイオニア、在日外国人就労者共済会(VIVA VIDA!野口重雄理事長)=本部・神奈川県大和市=が八月に、改正に基づいた特定保険事業の届け出を金融庁に提出し、認められた。
今まで行政の規制を受けずに保険に似たサービスを行っていた「共済」に対して、日本の金融庁は四月から改正保険業法を施行、監督をはじめた。それに対応し、同共済は届け出をすませた。
同庁としては、交通違反の反則金を補償する共済などを「公序良俗に反する」として認めない方針で、「社会的に有用な善意の共済は存続してもらいたい」と考えている、と日本経済新聞十月三日付けは報じている。
「日本国内で外国人向けの共済はここだけ」と野口理事長は強調する。同共済会では、〇八年三月末までにミニ保険会社(小額短期保険事業)への移行を目指している。
厚生年金や国民健康保険など既存の社会保険にかかる費用を嫌って、デカセギ本人がそれらに加入したがらない傾向も、以前から指摘されている。
しかし現実には、群馬県や静岡県などのデカセギ集住地では、無保険の外国人がケガや病気になって公立病院で治療を受け、その費用が未払いになるケースがあとを絶たない。それを地方自治体が税金から補填して、日本人住民から問題視されたところもある。
「保険で困っている外国人が多いと聞き、一肌脱ごうと思った」と野口理事長は九八年の創立当時を振り返る。以来、丸八年で五千人を超える加入者を集めた。「最近、加入者が増えており、保険意識が高くなってきていると感じる」。
同共済の年間負担金は四万九千八百円で、社会保険よりだいぶ安い。上限を二百万円とする医療補償、病気などで死亡した場合は三百万円、傷害が残ったら七百万円が受け取れる。
「それ以上の費用がかかる病気の場合、本国に戻って治療を受ける方が大半です。私どもは、あくまで日本で働き続ける方に補償を提供するものです」と説明する。
野口理事長は「今までは規制もない変わりに、監督官庁の認可もなかった。これからは金融庁の指導を受けながら、ミニ保険会社へと移行していきたい」との抱負を語った。