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刑務所管理に犯罪組織関与=NGOの仮面つけ=公金横領、脱走ほう助も=女子職員にPCC構成員

2006年12月6日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十二月五日】サンパウロ州刑務所管理局は四日、NGO(非政府団体)の仮面をつけて人権団体と偽り、服役者のために心理治療や法的支援を行う名目で、犯罪組織が刑務所の中を徘徊し、公金を横領していることを明らかにした。組織はねつ造報告書を当局へ提出し、偽造伝票の発行で合法活動のように装い、監督官の目をごまかしている。この犯罪組織は凶悪犯の脱走をほう助し、州都第一コマンド(PCC)との連絡取次ぎや犯罪の段取りも行う。同NGOは州政府との間で受刑者の福祉補助契約を結び、三一四〇万レアルを給付されている。
 サンパウロ州刑務所におけるNGOの内部管理は犯罪組織の温床だと告発された。服役者から巻き上げた資金で乗用車を購入、ガソリンを横流しし、服役者の食費をピンはねしていた。また所内就労での給料もごまかし、服役者の待遇改善に使われるべき積立金は着服し、私腹を肥やしていた。
 刑務所管理局には現在、十団体のNGOが州政府との契約で十六カ所の刑務所の服役者九六〇〇人の管理を任されている。巧妙で悪質な公金横領事件の捜査は、フルカワ前長官の後任として五月に指名されたピント新長官の指示を受け、刑務所管理局によって秘密裏に行われた。
 告発報告書は経理処理伝票や台帳、銀行明細、契約書コピー、犯行現場の写真、違法行為の証拠書類を添付し、法務局監察部と州会計検査院へ提出した。法務局は違法管理を取り調べ、会計検査院は資金の流れをNGOの会計帳簿と照合し、不正を監査する。
 前長官時代から刑務所管理局に犯罪組織は浸透し、PCCの代行を務めていたと、新長官はいう。同長官は次期セーラ知事(ブラジル民主社会党=PSDB)のもとでも、同職務に留任するらしい。先にPCCがサンパウロ州をばっこし、市民を恐怖のるつぼへ落としたのは、それを援護する組織が刑務所内にあるからだという。
 サンパウロ州政府がNGOと協定を結び、外部の治安管理は州政府、内部管理はNGOと打ち合わせてから、犯罪組織が暗躍し始めた。NGO内部に犯罪組織の潜伏疑惑はあったが、NGOとの契約は更新された。
 告発の焦点となりそうなのは、NGOの女子職員にPCCメンバーがいて、ピラシカーバ刑務所の社会復帰指導員として勤務したこと。同職員は不正調達資金の銀行処理を行っていたが、発覚し解雇された。その後、PCCの携帯電話局センターで就労し、正体が割れて逮捕された。
 フルカワ前長官は、後任による秘密裏捜査が行われている噂を聞いたが、風評と思っていたという。告発報告書を正式に発表するなら、事前に前長官にも報告があって然るべきだと糾弾した。前任者を無視した抜け駆けは、売名行為ではないか。後任の情婦を刑務管理局から更迭したことへの報復とも訴えた。
 後任の秘密捜査は、闇から闇へ葬る軍政時代の手法であると前長官は訴えた。後任は前長官の側近を吊るし上げて誘導訊問を行い、拒否すれば家族に禍が及ぶと脅迫した。フルカワ前長官は、場合によっては後任と正面対決し、火中の栗を拾う覚悟だという。