2006年12月7日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙六日】ブラジリア航空管制センターで五日、航行中の航空機と同センターとを結ぶ通信機器のトラブルにより、ブラジル航空史上最大のパニックが発生した。トラブルは二回起きた。最初は午前九時から一〇時までで、二〇の周波数帯のうち一三でトラブル発生。二回目は午後一時から四時まで全機器にトラブルが発生し、合計四時間余りのパニック状態となった。民間航空庁(Anac)は全航空会社へ五日夜、サンパウロ市と首都、ベロ・オリゾンテ市空港から離陸予定の国内便すべてを欠航するよう要請した。
航空管制システム(Cindacta1)が設定されて二〇年、同地域の管制がお留守になるという、初めての大規模トラブルの体験である。Anacは午後七時半になって全便欠航の通告を出し、出発を待っていた乗客を憤慨させた。
ブラジリア空港ではこれまでに、二回小規模トラブルがあった。それを航空機の離陸間隔を開けることで、トラブルを解消した。しかし、今回は万事休すとなった。大統領府では関係者を集め、航空管制システムの欠陥について緊急会議を開いた。
ブラジリア航空管制センターに設置されている通信機器は、いずれも最新式の新品。しかし、トラブル発生は、第二、第三の航空機接触事故を引き起こしかねない非常事であった。すでに航行中の機は、近くの空軍基地へ着陸させた。
連邦警察は空軍の協力を得て、航空管制の完全停止状態についてサボタージュの可能性を調べた。空軍は、その可能性を強く否定。結論として通信機器操作上の異常事態発生と連警は解した。配線の不自然な痕跡は引き続き捜査する。
空軍は、イタリアのSITTIから導入したソフトウエアの欠陥とみている。日進月歩でIT機器が発達する現在、航空管制では古いラジオ無線システムを使っている。国際航空規定により、航空機は公海上をレーダー誘導に頼らず、ラジオ無線システムで航行する。それなのに、ブラジリア管制センターのシステムに異常が発生した。
しかし、それだけで終わらない。ブラジル中央西部と南東部の空が丸腰状態となった責任の所在は、追及される。サボタージュの可能性は、下院が管制システムと空軍の関係を審議する前日と偶然一致したこと。空軍士官らの存在をアピールする狙いがあったという見方だ。
ルーラ大統領は管制システムの緊急会議で、ブラジリア航空管制センターに設置されているのと同型の機材をサンパウロ市にも設置するよう要請した。首都で万が一今回のようなトラブルが発生したら、直ちにサンパウロ市管制センターが首都に代わり航空管制本部となる。
婚約者のリーマさんは、結婚登記のためベロ・オリゾンテ市からサルバドール市へ飛ぶはずであった。便が欠航したため、登記はおじゃんとなった。コンゴーニャス空港は、スピーカー故障のため欠航通知が遅れた。各空港は混乱したロビー整理のため、非常召集の軍警がいきり立つ乗客をなだめるのに汗をかいた。