2006年12月7日付け
□ヨーロッパ、アメリカの草刈場サンタレン(1)□
アマゾン川中流の町サンタレンは、アマゾンの大都市マナウスからも、河口の町ベレンからでも、等距離地点にある。地理的には北部ブラジルと東北ブラジルの中間地点、という感じでアマゾン川中流の安定した流れの河岸の町、といったところだ。
北マット・グロッソ(マット・グロッソ州)に源流を発するタパジョス川(リオ・タパジュス)の流れが、このサンタレンの町の前でアマゾン本流に合流する。タパジョス川の水は透明なクリスタル水である。そんな清流が町の前方を通過しているため、この川があの濁流のアマゾン河の一部なのか、と思わせる不思議な雰囲気である。
巨大なアマゾン河水系のそれぞれの支流の水質は、各支流ごとに低質土壌の差が原因しているのか、その他の要因によるものなのか、全ての水質水色が非常に異なっている。
このタパジョス川というアマゾン河本流の中間地点で、大アマゾン川に合流しているタパジョス川を、サンタレンの街から、船で上流に進むこと一日で、イタイトゥーバというガリンペイロの街がある。ここから上流には多数の滝があり、船での通行が不可能となる。
この中流地域の川の底質が砂と砂利と岩であるため、それがフィルターの役目をして川の流れが澄み切っているのだろうと考えられる。さらに上流、源流及び分水嶺域地域が、マット・グロッソ州北部の石灰質で覆われたような地域であることも、水を綺麗なクリスタルにしている理由なのかもしれない。
サンタレンの街からタパジョス川上流に向かって、最初の町がイタイトゥーバで、次がジャカレアカンガの部落と続き、その上流は広範囲な自然公園になっている。その範囲の中にはインディオ居留地もある。
日本的に考えると、公園という狭い地域を考えがちだが、タパジョス川流域公園だけでも九州くらいの面積がありそうな広さだ。
この地方に住むインディオは、唇に円盤状の皿を入れて、下顎がアヒルのようになっている特徴的で有名なインディオ集落である。
筆者が搭乗したバリグ航空のボーイング737型機は、マナウスを出て、アマゾン河に沿うようにその上空を飛行し、高度を下げ始めた頃、瀬戸内海より広そうなタパジョス川に差し掛かった。やがて川沿いに真っ白な砂が続いてるのが見え始めた時には、このサンタレンの町の明るさに心が躍る思いだった。ゆっくり降下しながら、旅客機は狭いサンタレン空港滑走路になんとか着陸した。この地に降りた第一印象は、思っていたとおり明るい、眩しい町だった。
アマゾン地方というのは、ヨーロッパから考えると、日本で感じられる東南アジアのような感覚ではないか、と以前説明した記憶がある。この空港に到着して、その感が新たになった。つづく (松栄孝)
身近なアマゾン(2)――真の理解のために=無垢なインディオ部落に=ガリンペイロが入れば…
身近なアマゾン(3)――真の理解のために=ガリンペイロの鉄則=「集めたキンのことは人に話すな」
身近なアマゾン(4)――真の理解のために=カブトムシ、夜の採集=手伝ってくれたインディオ
身近なアマゾン(5)――真の理解のために=先進地域の医療分野に貢献=略奪され恵まれぬインディオ
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身近なアマゾン(14)――真の理解のために=散々だった夜の魚採集=「女装の麗人」に遭遇、逃げる