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管制トラブルの原因判明=保全担当官がミス=管制官も報告なしに退出=システム管理を分散へ

2006年12月9日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙八日】空軍は七日、航空管制トラブルが人為的ミスであったことを明らかにした。ブラジリア航空管制センターの通信機器を保全する担当官による調整ミスで、五日に数時間にわたって機器の機能停止が発生し、航空史上初めてとなるパニックに至ったことを本人も認めた。原因は訓練不足という。ブエーノ空軍司令官は直ちに、ルーラ大統領とピーレス国防相、ロウセフ官房長官に報告した。同司令官は引責辞任の可能性を否定、航空管制システムの管理分散が急務と訴えた。大統領は航空管制の欠陥が露呈したことで、政治的ダメージの収拾に苦慮しそうだ。
 通信機器の保全担当官は、機器の周波数切り替えで重大ミスのあったことを認めた。主要空港を中心とする全国の空港でパニックが生じ、ブラジルの空が管制不在となったのだ。政府はブラジリアの集中管理システムを、サンパウロ市とリオデジャネイロ市に分散することを決めた。
 政府はパニックの原因が解明されたことで、サボタージュ説を否定した。空軍司令官は、ブラジリア管制センターに専門担当官の欠員を認めた。管制システムの不具合を確認するのに六時間を要したことは、システムの致命的欠陥とみられる。
 同司令官は一時引責辞任も考え、部下の過失を悔やんだ。最大の黒星は、一カ月以上も管制トラブルが発生していたのに、五日まで解決できなかったことだ。五日午前九時、リオ発ブラジリア行きの便の通信に異常が発生した。
 ブラジリア管制センターの通信機器に電波混線による雑音が入り、ほとんど聞きとり不可能となった。管制センター主任は保全担当官に機器の調整を命じた。同担当官は、予備用の通信機器を混線状態の本機と交換し、周波数を無造作に切り替えた。
 周波数の切り替えは、自動エレトロニクス方式になっている。オペレーターが飛来する航空機から発信する周波数に合わせ、モニターを見ながら各機器の周波数を調整する方式だ。しかし、同担当官は交換した予備用機器が機能していないのに気付いた。予備用の本機代用は無理かと同担当官は思った。
 予備用機器の周波数を切り替えたため、ソフトウエアが拒否反応を起こした。同機器の不具合を調整するため、同担当官は配電盤を移動した。結果は最悪だ。全通信機器が機能を停止。これは、乾電池の電極を間違えて差し込んだようなものといえる。
 オペレーターは全員、機器停止後、上官にトラブルの報告をせずに管制センターから退出した。機器保全の失策とオペレーターの軍律違反がパニックを増幅したといえそうだ。
 サンパウロ市とリオ市の航空管制センターが、管理分散方式で機能するのは六カ月から八カ月後とみられる。他に分散方式になると、便数の増強も予想され、空路の新設も必要になる。
 大統領府は、ピーレス国防相の後任探しに入った。一方、下院の航空管制調査委員会は国防相から説明を受け、同様のトラブルはいつでも再発すると警告された。通信機器の不足、管制官の無責任さと協調性不足、航空会社のシステム対応不備などを同相が指摘した。