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古美術展の概要あきらかに=百周年=国宝1点、重文6点を予定=交響楽団の相互交流も検討=意気込み見せる日本側

2006年12月9日付け

 八日午前、ブラジル日本移民百周年記念協会の執行委員会(松尾治執行委員長)は記者会見を行い、前日午後に行われた会議の概要を公表した。その中で、サンパウロ総領事館からの発表として、〇八年四月から予定されている古美術展には日本から国宝が一点、重要文化財も六点含まれていることが分かった。「実現に向けて準備中」で何度も交渉を重ねている。そのほか交響楽団の交流の検討も行われており、日本側の強い意気込みが伝わってくる内容となっている。
 百周年の目玉イベント、日本政府(文化庁や国際交流基金など)が主催する古美術展は、江戸時代の工芸品を中心に百八十点が展示される予定。その中には国宝一点と重要文化財六点も含まれている。期間は〇八年四月十五日から六月二十二日まで、サンパウロ市内の美術館などで開催される見込み。
 出品予定作品の中でも、国外に持ち出される機会の稀な国宝・太刀(銘正恒)は注目の的となりそうだ。古備前を代表する名工、平安時代後期の人物といわれる正恒が作ったもの。
 加えて重要文化財では次の五点を含む作品が予定されている。「湖西・五輪塔形経筒外容器(平安時代)」「珠洲・草樹文壺(鎌倉時代)」「古丹波・秋草文四耳壺(室町時代)」「古九谷・色絵牡丹獅子文銚子(江戸時代)」「仁清・色絵若松図茶壺(江戸時代)」。未指定の文化財として「萌黄地花折枝文様唐織(江戸時代)」「叢梨地牡丹唐草向鶴紋散蒔絵調度(江戸時代)」の名前もあがっている。
 これら出品予定作品はあくまで案であり、確定はしていない。
 オーケストラ交流として、今年四月に創立六十周年を迎えた伝統ある東京交響楽団(旧東宝交響楽団)が〇八年八月中旬にサンパウロやリオでの公演を検討している。すでに十七カ国六十九公演を数え、世界各地で高い評価を得ている。
 また、東京オリンピックの記念文化事業として東京都が一九六五年に財団法人として設立した東京都交響楽団も、九月下旬にサンパウロ市などで演奏会を行うことが検討されている。
 日本へは、サンパウロ州交響楽団が同年十~十一月に訪問することが検討されている。
 さらに海上自衛隊練習艦隊のブラジル寄港も実施に向けて調整中だ。
 また、日本の外務大臣による百周年記念表彰百人および二十~三十団体も計画されている。
 「地域リーダー交流事業」も議論された。小泉首相(当時)とルーラ大統領の覚書にあった青年交流事業の具体案として、ブラジル人青年を日本に招待したときは日本政府側で負担し、日本からブラジルに青年を送る場合は県別に派遣を行って費用を母県受け持ち、受け入れを県人会が行うなどのアイデアも話し合われた。
 〇八年を中心に、国際交流基金が映画祭、シンポジウムや講演会への講師の派遣などを行う。JICAも百周年誌編纂、移民史料のデジタル化、映像記録、証言記録などの一連のプロジェクトに対し、シニアボランティア等の人材派遣を検討している。
 松尾執行委員長は、連邦レベルの百周年実行委員会が組織される旨が発表された件に関し、十二月十四日にブラジル外務省アジア・オセアニア局長のレジーナ・ダンロッピ氏とサンパウロ市で同協会関係者約二十人と懇談することになっていると公表した。
 事務局の強化を掲げてきた松尾新体制。小川憲治さん(55、福岡県出身)が事務局長に選任された。小学四年を終え、親と共に九歳で渡伯。ブラジルで高校を卒業し、ローム電子などを経て翻訳の仕事をしていた。
 モジ在住三十五年以上になるが「今までコロニアとまったく接触がなかった。これから全力を尽くして、お役にたてるようになりたい」と意気込みをかたった。十二月一日から仕事を始めた。
 松尾執行委員長は「来年一月末までに、事業とその予算の見直しを進めたい」と語った。