2006年12月12日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十一日】救急車汚職を調査する蛭CPI(議会調査委員会)は八日、六カ月にわたり救急車マフィアとの関与疑惑を調査したが、大山鳴動してネズミ一匹という最終報告書の発表に至った。上下両院の倫理委員会は、上下議七十一人の関与を審議したにもかかわらず全員未告発となり、ヴェドイン文書買収のため捻出した一七五万レアルの出所も看過する結末となった。最終報告書を作成したランド上議(ブラジル民主運動党=PMDB)は、立件できないものを削除したという。救急車マフィアは前政権時代から存在したもので、遡って前保健相四人を告発する意向はないと言明した。
救急車購入にまつわる公金横領システムの最終調査報告書は、捉えどころのない結末で締めくくったようだ。同報告書は上程者のランド上議が十三日に発表する。発表に先立ち同上議は、立件できない者を告発しないし、出所の判明しない物を提示しないと述べた。その他、巷間の話題をどうすべきかは見当がつかないと同上議がとぼけた。
救急車の公金横領システムは、このように行われた。救急車マフィアは、地方自治体と議員に救急車購入のための予算編成を持ちかけた。自治体と議員は保健省へ働きかけ、予算交付を取り付けた。入札手続きは省き、水増し価格で市は救急車を購入。水増し額は、議員や省庁関係者、マフィアで分配した。
ひょうたんなまずの報告書のミソは、関与疑惑の議員名と共犯マフィアの関与者名を秘したこと。一七五万レアルの出所をウヤムヤにし、検察庁への審査要請中止の経緯が不透明なこと。同報告書が検察庁へネグリ前保健相(ブラジル民主社会党=PSDB)とコスタ前保健相(労働者党=PT)二人の事情聴取要請を行わない理由の説明がないことだ。
PMDBが連立与党へ鞍替えしたことで、事情は一変したらしい。前保健相四人の内、セーラ次期サンパウロ州知事を除いて三人ともCPIに召喚された。前保健相二人については、それぞれの仲介人を通じて関与した状況証拠がある。しかし、同上議は告発の意向がないことを表明した。
救急車スキャンダルが、与野党の攻防で新しい火種になるのを避けるためと同上議は言明。ルーラ大統領が名づけた「巷間の話題」一七五万レアルの出所解明を、検察庁に依頼するには根拠希薄という。資金押収を犯罪として立件するに当たらないと述べた。
救急車スキャンダルで関与が指摘された下議六十八人と上議三人のうち、下議二人は辞任。さらに総選挙で、下議六十一人が落選。上議三人は、倫理委員会が放免。CPIは、みそぎで去った議員に追い討ちを駆ける意思はないという。
救急車CPIは最終期限まで残すところ七日となり、ヴェドイン文書事件で疑惑の人となった休職中のベルゾイーニPT党首(休職中)と他PT幹部二人の処遇が焦点となっている。十月十七日予定されていた聴聞会はお流れとなった。同三人の事情聴取のためのCPIの期限延期は、上院が応じたが下院は気乗り薄である。