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〃空の混乱〃各界に大打撃=搭乗、旅行取消し続出=GDPへの悪影響必至

2006年12月12日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十日】「空の足の大停電」と呼ばれる飛行便の混乱が、国内総生産(GDP)成長の低下に大きなインパクトを与えることが危惧されている。それでなくてもGDP低迷に直面している現状で、さらにはずみをつける形となっている。九月二十九日に発生したGOL社のボーイング機墜落事故を起点として管制ミスが相次ぎ、飛行便の大幅遅れやキャンセル便の続出で社会問題となったが、ここに来てその経済への影響が改めて注目されている。
 航空関連業界はサービス部門に統轄されて独自のGDP占有率の実数が公表されていないが、ブラジル地理統計院(IBGE)は二〇〇五年度に三%(五八〇億レアル)から五%(九七〇億レアル)とみている。二〇〇四年は八〇〇億レアルの売上が公表されたが、それ以降は触れていない。
 空の混乱が表面化して以来、観光業界では一〇億レアルの損失と言われ、このほか航空会社、空のタクシー、航空機による輸出入などの売上の低下がGDPに影響を与えることになる。アナリストによると、GDPが高度成長の場合はこの業界は目立たないが、今年のように三%以下と取りざたされている場合、ワーストケースとしてインパクトが認識されるという。
 空の混乱で最も打撃を受けたのが観光業界で、パックツアーのキャンセルなどで売上が一〇億レアル減少した。一時は国内飛行便の遅れが一〇時間以上にも及んだことから、飛行機を避けて陸路を利用するのが急増、年末の目玉となっている北部や北東部の海岸リゾートへのパックツアーのキャンセルが相次いでいる。このため旅行代理店ではチャーター便やホテルの予約の解約に追われている。業界では今年、昨年対比一〇%の売上増を予想していたが、逆にマイナス成長になるとみている。急きょ二〇%割引セールを開始した代理店も出現している。
 航空会社は乗客や貨物のキャンセルで被害は八〇〇〇億レアルに上った。空の混乱が生じてからの十日間は四〇〇〇万レアルだったが、先週末までに倍増した。空のタクシーでは七〇〇〇万レアルとなった。九月二十九日のボーイング機事故以来、GOLとTAM両社のサンパウロ証券取引上での株価が下落し続け、損失は五〇億レアルに達した。