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不祥事続く航空管制=「空の治安」放棄した政府

2006年12月13日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙八日】ブラジルの航空管制がマヒしたことで、ピーレス国防相は質問攻めに驚いた。国防相は何が何だか分からないまま、航空管制不能だ空港パニックだと吊るし上げられた。
 誰かがルーラ大統領に、航空管制とは空の治安問題であると警告すべきだ。責任者は国防相ではなく空軍司令官ではないか。大統領府の責任追及は常軌を逸してはいないか。大統領は労相に航空管制勤務の正常化について検討を命じた。大統領は、国家の治安維持を労働法の問題と勘違いしていたらしい。
 管制センター勤務の軍人らに給料のベアをすることで、国家の治安を解決しようとした。空の管制問題は、空軍に一任してある。それなのに管制センターの軍人に対し、そのトラブルがもたらす結果について、政府は責任追及をしなかった。
 空軍司令官命令による管制センター要員の非常時体制勤務は、現場の上官が握り潰した。空軍上層部の命令は、現場に伝達されないらしい。ゴール社のボーイング機が墜落したとき、管制センターは責任逃れをした。今度の航空管制トラブルでは、どういい訳をするのか。
 管制センターと航行中の航空機とを結ぶ通信機器が機能停止した十二月五日、空軍司令官は直ちにサボタージュの可能性を否定した。しかし、同司令官の談話は説明不十分である。これまでの管制センターのトラブルから、なぜサボタージュを否定できるか。
 一連の報道から、管制センターには非常用の安全対策がないということだ。関係者は、安全第一をバカの一つ覚えのように繰り返している。自家発電機を持たない病院に、誰が生命を預けられるか。病院は常に停電の可能性を頭に入れている。
 管制センターの機能問題は二カ月以上くすぶり続け、何ら手を打たず、航空管制不能に陥った。これだけのヘマを仕出かして、まだ問題の根本にメスは入らない。空軍は綱紀粛正という。国防相は、軍人というより政治家タイプといえそうだ。
 航空管制不能がもたらす損害は、航空機の離着遅れや旅客の日程乱れ、航空会社の欠航による欠損だけではない。ブラジルの航空管制が丸腰になったことへの責任を憂慮する雰囲気が、全くないので悲しい。
 それから政府に危機管理のシステム不在という問題もある。国家の治安は、労働組合の駆け引きとは訳が違う。軍部の危機管理能力が問われるのであって、一担当官の訓練不足という次元の話ではない。労働者党(PT)政権だけで、細工をする問題でもない。