2006年12月14日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十三日】金融活動管理審議会(Coaf)は十二日、犯罪組織州都第一コマンド(PCC)が過去十一カ月間に縄張りを広げ、金融機関で三六六〇万レアルの資金を運用していることを明らかにした。組織の関係者二六〇人が銀行口座を使って資金の出納や振替を行い、直接または間接的に一四八五人の下部メンバーが活動していることを確認した。サンパウロ州市警組織犯罪捜査課(Deic)は、犯罪組織と金融機関の資金ルートを遮断するため、州政府と連邦政府に協力を要請。資金の動きは、サンパウロ市と刑務所のある地方都市に集中、小額の送金が九州にまたがり、支部開設の動きがあるという。
資金の動きは短期間に枝分かれし、ねずみ算式に取引量も増え、犯罪王国の規模がうかがい知れる。三六六〇万レアルという金額は、七〇〇人の受刑者を収容できる刑務所が五カ所建つ資金である。
銀行口座に現れたのがこれだけならば、実際には第二会計も含めると莫大な資金が動いている。Deicだけの組織と権限では、PCC全体の動きを把握できない。組織の財源とメンバーを通じて送金された資金の行き先確認、ルート遮断には連邦政府の協力が必要になる。
銀行明細を洗い出し、俎上に乗せられた関係者一四八五人の中には、犯罪組織の手先とは知らず組織のお先棒担ぎで営業活動に精を出す不動産業者やサービス業者も、多数含まれる。
組織の送金がバイアやマラニョン、リオデジャネイロ、マット・グロッソ、マット・グロッソ・ド・スル、リオ・グランデ・ド・ノルテ、ロンドーニア、パラー、ミナス・ジェライスなどの諸州へ広がっている。金額はまだ小さいので、支店開設資金とみられている。
PCCは、営業種目を多様化し、ホールディング(子会社)化しようという動きらしい。イタリア・マフィアの組織形体を導入する考えとみられる。末端メンバーからの上納金はしっかり集金し、組織の資金として洗浄後、銀行口座に預ける。
末端メンバーの上納金は、銀行強盗や公金横領、麻薬密売、会費、刑務所内の水揚げ金である。PCCの組織関係者は、自動車代理店やマイクロバス組合、バン組合、賭博業者、ガソリン・ポスト、混合ガソリンの供給業者、州監督官の買収専門業者など。
組織の資金は容易に判別できる。第一に臭いと当局の追跡が常にある。第二はラランジャの名義で営業しているサンパウロ市とサントス市、ABC地区のガソリンスタンドのチェーンで、弁護士が職員六十人を雇って資金洗浄を行っていた。
中央銀行セアラー支店で盗まれた一億六四七〇万レアルは、マイクロバスに姿を変えサンパウロ市で乗客を運行していた。組織は豊かな資金を背景に、参入業界に競争があると排除する。一定地域を支配、ヨソ者を追放して競合させない。
ガソリンスタンドなら一定地域のスタンドは、PCCの指定価格で販売を強制する。特価販売や大安売りは禁止し、一定利益を上げることを義務付ける。果物店なら、残り物を特価で一掃するのは禁止。大安売りをするより、棄却を命じる。