2006年12月15日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十四日】下院の公開聴聞会で民間航空会社代表と労働組合、国会議員、一部の政府官僚らは十三日、空軍による航空管制の廃止が、民間航空の航空管制トラブルを解決する道だと表明した。空軍管理の廃止を最初に訴えたのは、従業員組合のボローニャ理事長。政府は空港使用料や航空券に上乗せして航空管制予算を捻出したが、他用途へ流用したという。民間航空審議会は二〇〇三年、十八カ条からなる航空管制の不備と資金交付を訴えていた。続いてTAM航空社長は、航空管制の予算カットがパニックの原因であると非難した。
下院公開聴聞会は、労働組合や民間航空会社らの空軍出て行けの大合唱であった。空港使用料や航空券からのピンはねは、政府にとって格好の予算稼ぎ場であった。しかし、上前をはねるだけで、航空業務の拡大や空輸需要の増加に伴う投資は行われなかった。
六時間にわたった公開聴聞会は、航空業務の構造改革即時実施を求め、民間航空からの空軍完全撤退を示唆した。空軍撤退の圧力を受ける中、ブエーノ空軍司令官はルーラ大統領の意向次第では反対するつもりのないことを表明した。
ピーレス国防相が、ブラジルの航空管制は民間航空も含むと述べた。民間航空の業務は軍の管理下にある。管制予算の欠如と民間航空の管制トラブルは、別問題だ。地対空防衛が切実な問題になったことのないブラジルで、航空管制を疎かにして民間航空が勝手に空を飛べるのではないと警告した。
空軍の完全撤退が決議されたとして、非常時体制における空の国防と国家治安がどうなるのか国会はよく審議せよと国防相は糾弾した。何の規制も制限もない、野放しの航空業務はない。民間航空会社に空の治安を委ねるなら、民間による国家防衛機関を設立すべきであるという。
労組が軍の昇格制度は現場の事情に対応しないと批判したことに対して、航空管制論議は国家治安と労働問題で主客転倒しているという。指が大切なのか、指輪が大切なのか。民間主導論によれば、空軍は指を切り落として、指輪だけ持って行けということらしい。
国防相の反論により、矛先は政府に向けられた。労組は国防省または民間機関が指揮する航空管制委員会を設置し、航空業務の管理と監督、調整、空軍との連携、民間航空への対応を一括処理する民間航空庁(Anac)の管轄下に置くことを提案した。政府の対応はこれまでいつも一時しのぎの間に合わせで、航空管制の抜本改革はなかったと苦言を呈した。
前国防相のアレンカール副大統領は、軍の言い分を支持した。管制問題は労働問題ではないという。航空需要は破竹の勢いで伸び、軍が憂慮することは間もなく再発するとみている。
年末に向けてチャーター便が激増するため、発着時間の制限が十二日から始まった。また、チャーター便の九〇%は土日に集中している。そのため旅行業者は、管制トラブルを避ける時間の繰り合わせを始めた。一時のようなパニックはないと業者がいう。