2006年12月15日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十一日】ユニセフが十一日に発表した五歳までの幼児の死亡率の世界ランキングで、ブラジルは一九〇カ国中八六位となり、昨年より二つランクを下げた。ユニセフが毎年発表するものだが、ブラジルは向上しているものの、世界の流れより遅れていることが実証された。ブラジルはランキングで五年連続で下降し、二〇〇三年以降、ランクを七つ下げた。保健省ではこれに対しコメントを避けているが、関係者ではユニセフに報告される数字は大都市のもので、地方の実数が含まれていないとし、実際の死亡率はもっと高いと推測している。さらに産前検査の不徹底が挙げられ、今後の医療、介護体制の改善の声も高まっている。ユニセフではこのほか、男性と女性の社会的地位の不平等も指摘している。
五歳までの幼児の死亡率ではブラジルは低い順からのランキングで世界一九〇カ国中八六位となった。ブラジルは死亡率が減少して環境は向上しているものの、ほかの貧困国に遅れをとっている。ランキング下落は五年連続で、三年間で七つランクを下げた。統計によると、今年度の死亡率は一〇〇〇人当り三三人で、昨年の三四人よりも下回ったものの、昨年の八八位からランクを下げた。二〇〇三年は九三位だった。
死亡率が最も低くランキングのトップになったのが、サンマリノ、アイスランド、シンガポール、アンドラの四カ国でいずれも一〇〇〇人当り三人だった。次いでスイスの四人。いっぽうでワースト五はセーラ・レオア(一〇〇〇人当り二八二人)、アンゴラ(二六〇人)、アフガニスタン(二五七人)、ニジェール(二五六人)、リベリア(二三五人)だった。
ラテン・アメリカ近隣諸国との対比では、二一カ国中一五位とふるわず、経済大国を自負しているにもかかわらず対策が遅れていることを如実に示した。アルゼンチン、ウルグァイ、チリに大きく水を開けられるとともに、エル・サルバドルやドミニカ共和国の後塵を拝する有様となった。
注目されるのが中米の二カ国の躍進ぶりで、ベリゼはブラジルより低い八一位から今年は一気に一二五位となった。サロモン島はブラジルが三年前に位置した九三位に浮上した。昨年は七〇位だった。エジプトは昨年、ブラジルより二ランク下だったが今年は同位に並んだ。
ブラジルのユニセフ代表はこの現象を、国連の人間開発指数と同じケースだと指摘する。今年の指数は昨年の〇・七八八から〇・七九二へと上昇したにもかかわらず、世界ランキングは六九位から六八位と下げた。ほかの小国や開発途上国が上回ったからだ。幼児の死亡率も過去十年間で四〇%の大幅減少を見たが、それ以降止まった状態になっている。ブラジル政府の悪いくせは八〇くらい改善されることを良しと見てフォローがないと指摘する。また今回の数字は大都市を中心としたもので、北部や北東部が含まれておらず、実数とはほど遠いとの見解を示している。
ユニセフの報告はブラジルの男女の差にも言及している。それによるとブラジルは世界でも女性の収入が男性よりも少ない国の一つだという。女性は長寿で、学歴もありながら、社会的地位はマシズムに流されているという。女性の収入が増えるのは子供の生活環境に大きく影響する。男性は限られた金額を養育費とするが、女性の場合は子供第一とするからだ。
いっぽうで国会議員の女性が占める割合はわずか九%(立候補では女性三〇%が義務づけられている)と世界でも少ない。女性議員が増えることで、社会福祉や保健が改善されるのが世界の例だとしている。
また、出産前の検査や看護も不足している。産前に行うよう奨められる六つの検査では五二%が受けていない。これが北部と北東部ではそれぞれ七四%、六六・七%となっている。生後一年以内に死亡する幼児の六四%は一カ月以内に、五二%は一週間以内に死亡することで、ユニセフでは環境改善を求めている。