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下がり続ける給与=国民総最低賃金の様相

2006年12月15日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十一日】ブラジルの給与体型は最低賃金ベースになりつつある。政府が労働者の実態を把握するための指標としている雇用失業登録データによると、今年の正規雇用として登録された給与の平均は最賃一・五倍以下だった。
 今年一月から十月までの新規採用者一五〇万人(正規雇用登録者)のうち一四〇万人が最賃一・五倍相当の五二五レアル以下だった。これは全体の九六%となり二〇〇五年の同時期の七九%を上回り、国民総最賃ベースの様相を呈してきた。
 関係者によると、経済の低成長に加え、ドル安レアル高が一向に改善されないこと、高金利が原因で国内企業が国際競争力を失っていることが、人件費削減につながっているという。企業としても存亡の危機に直面しており、高給者をリストラして、より低い賃金の労働力が至上命令となっている。
 サンパウロ市内のみで十月の時点で失業者が一四〇万人と言われている。これらは再就職するまでに平均一年は要する。このためたとえ低サラリーでも取りあえず飛びつく傾向になっているという。
 アメリカの労働省の調査によると、一九九〇年から二〇〇四年の間、工業部門の労働コストを引き下げたのは対象国二十二カ国のうち、ブラジルが唯一だった。ブラジルのコストは一時間当り三二・一二ドルから三・〇三ドルとなった。EU諸国は一六・八四ドルから二七・一七ドルへねアメリカは十四・八四ドルから二三・一七ドルへと上昇した。