ホーム | 日系社会ニュース | ますます好調=産地直送の農産物市=移住70年の信用と誇り――パ国、アスンシオンの中心街――日系人は元祖で中核=野菜、花、鶏卵、パン、麺など多種

ますます好調=産地直送の農産物市=移住70年の信用と誇り――パ国、アスンシオンの中心街――日系人は元祖で中核=野菜、花、鶏卵、パン、麺など多種

2006年12月15日付け

 【アスンシオン=パラグァイ】毎週、火曜日になると、パラグァイの首都アスンシオンの中心街にあるショッピング・センターに多くの市民が先を争うかのように、早朝から詰め掛ける光景が見られるようになって久しい。そこにあるのはAGRO SHOPPING。市民のお目当ては産地直送の新鮮な農産物だ。「三日坊主か」と揶揄されながら始まって満八年を経て、すっかり首都の風物詩の一つに定着し、ますます好調だ。元祖でもあり、今でも中核を担っているのはコルメナ・アスンセーナ農産業協同組合(CAICA、金沢要二組合長)だ。首都圏にあった日系農協と日本人移住発祥地のラ・コルメナにあった日系農協が合体し、組織が強化されて今に至っている。
 会場はMariscal Lopezという知名度の高いショッピング・センターの屋内駐車場なので、天候に左右されないという利点もある。すぐ隣にはJICA(国際協力機構)パラグァイ事務所がある。韓国大使館や米州開発銀行パラグァイ駐在事務所も近くにある。ブラジル大使館や日本大使館や米国大使館、アスンシオン市役所などの中枢機関もマリスカル・ロペス大通りに面して並んでいる。周囲には銀行、郵便局、両替所などもあり便利だ。
 この中心街になぜAGRO SHOPPINGなのか、の問いに「私たちは隣の市にあるパラグァイ日系農協中央会の倉庫でずっと以前から生産物の直売をしてきました。それに注目したこのショッピング・センターの経営者が、首都中心街への進出を誘致したのです。中央会倉庫は私たちの直販活動の発祥地なのです。このショッピング・センターも相乗効果で大いに賑わっていますよ」と説明してくれたのは柴田隆一さん(福岡県、東京農大卒)。
 AGRO SHOPPINGの会場で共同店舗を構えているのは、CAICA有志の堤田昭次(熊本県)、木村岩夫・藤夫兄弟(長崎県)、竹崎君代(熊本県)と柴田隆一(敬称略)の五名で、堤田さんが責任者だ。出店者にはパラグァイ人はもとより、台湾系やドイツ系などもおり、生鮮野菜、果物、生花(切り花)、ステビア、鶏卵、蜂蜜、きのこ、ワイン、食パン、薬草と加工品、麺類、コメ、大豆などの豆類、チーズや薫製肉などの畜産加工品など多種多様で、パラグァイ版「地産地消」そのものだ。
 十数種類の新鮮なジュースもその場で楽しめる。ここでは生産者と消費者が顔を合わせての直接売買のため、会場には信用と安心感が漂う。平日なのに、午前七時から午後九時までの出店時間帯に客足が絶えることがないほど安定している。パ国内では比類ない行事に成長した。
 南米最大の消費都市・サンパウロでもこのようなパラグァイ版AGRO SHOPPINGに匹敵するフェイラがあるだろうか。今年は日本人がパラグァイに移住して七十周年目を迎えた。推定人口五百万人の中で、一万人に満たない日系移住者のこのような活躍は誇りに値する。会場を見るだけでも価値がある。