2006年12月19日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十八日】上下両院執行部が最高裁判事に準じ議員給与の倍増を決定したことで、ピニェイロ下議(労働者党=PT)を中心とする一部下議が十六日、執行部決定を無効とする法案の原案を起草した。議員給与の一万二八四七レアルから二万四五〇〇レアルへの引き上げと自動調整は、世論を無視した非常識な措置として、ブラジル弁護士会(OAB)や全国司牧協会(CNBB)などの有力民間団体から強い批判を受けた。上下両院の執行部決定は、国民と議会の間に不信の溝を深め、国会の体面を汚し、連邦令に照らしても違法性が問われるものとしている。
執行部決定を無効とする法案は十八日、本会議で未修正のまま審議するよう上程される。過去四年間のインフレ目減り分は二八・四%で、調整は一万六五〇〇レアルが妥当であるという。同下議は給与の調整に反対ではないが、調整率と調整理由が議会内規に抵触すると述べた。
議会執行部の決定を違憲として見直しを迫る議員は、自由社会党(PSOL)やブラジル民主運動党(PMDB)、自由前線党(PFL)、緑の党(PV)、PTなどから続々と名乗り出ている。上下両院議長による給与倍増提案は、本会議の表決を要しない世論無視の措置で、国民の怒りは次回選挙で目にもの見せることになりそうだ。
ガベイラ下議(PV)は、カリェイロ上院議長とレベロ下院議長が決定を撤回しないと、国民と議会の信用を失い、政治生命まで絶たれるという。議長職に固執した支持票の獲得作戦は、裏目に出るとみられている。実際に受け取る調整額は表決に伏されるので、倍増提案は事情を呑み込めない議員をはめる策略だという見方がある。
国会は二十二日に休会に入る。それまでに原案を審議し表決する必要がある。休会明けの来年二月一日は、先の地方選で当選した議員の認証式があり、給与倍増も自動的に流れに乗る可能性がある。
ピニェイロ下議は、議員給与と最高裁判事の給与が同等扱いされるのは合憲か、連邦令の見地から意見を述べる。上議八十一人と下議五一三人の給与が、最高裁判事十一人と同等扱いで、しかも表決なしの決定があり得るかどうかだ。
検察庁は、国家公務員の給与上限に二重天井を設けるのは違憲だと明言した。もし両院執行部決定が来年二月一日実施となるならば、国会議員の四分の一が調整額二万四五〇〇レアルを超過する。さらに退官した元公務員の年金や遺族年金も自動調整となる。
立法府と司法府高官の給与明細はブラック・ボックスと呼ばれ、政府の金庫番である財務相も閲覧できない。行政改革が叫ばれて十年以上、これら高給享受者の実態解明が課題となっている。立法府と司法府の長は、給与明細を隠すシステムを設けたからだ。
行政府は、立法府と司法府へ毎月請求された総額を渡す。しかし、誰にいくら払うのか全く分からない。立法府と司法府はやぶの中にあり、連邦令などあってないも同然である。ブラジルの政治システムは、議会が人質を捕り裁判所がノーといえば、政府は何もできない仕組みになっている。