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帰伯逃亡デカセギ問題=静岡県人会が支援決議=被害者遺族来伯に対応=「できる限りの協力を」

2006年12月19日付け

 静岡県人会(鈴木静馬会長)は十六日午後二時から今年最後の役員会を行い、帰伯逃亡デカセギの代理処罰裁判が始まったとき、傍聴などのために来伯する遺族らに「できる限りの協力をする」ことを決議した。日伯両国間の犯罪人引き渡し条約締結と代理処罰を求める署名は、十八日現在で、約七十万九千人分も集まっている。帰伯逃亡するブラジル人容疑者の問題は今後、日本全体で表面化する可能性もあり、同県人会が示した協力表明は、日本側から見たブラジルのイメージを悪化させないためにも貴重な一歩といえそうだ。
 会計報告や事務報告に続いて、司会の大橋健三副会長から、被害者遺族が裁判などを傍聴しに来伯する際、どう対応するかに関して議題が出された。出席したのは副会長や理事ら十三人。
 評議会会長の五島一成さん(77)=モジ市在住=は「原則として、できる限りの支援をするべきた」と語り、「今後、遺族からの具体的な要望をきき、それに応じて対処したほうがいい」と強い姿勢を示した。
 第一副会長の大橋健三さん(74)=サントス市在住=も「家族の方がみえたら会として支援する。サンパウロから遠く離れた場所での裁判だと難しいが、このサンパウロ近郊であるならば、道案内や一緒に行動したり、できるだけの便宜を図る」と賛意をあらわし、詳細は今後詰めるとの意向を示した。
 また、裁判傍聴時の内容説明など、専門的な翻訳能力が必要な場面では、伯日比較法学会や国外就労者情報援護センターなどの専門機関の通訳者に依頼するなどの案もだされた。
 鈴木会長(74)=サンパウロ市在住=は「来年八月の県人会創立五十周年に向けて母県との絆を強めるためにも、支援をしていく意味がある」と呼びかけ、拍手によって支援することが可決された。
 鈴木会長は七月の心臓血管手術に続いて、この十一月にも腎臓血管手術をしたばかり。病み上がりにも関わらず、役員会に出席した。
 この問題は、県紙である静岡新聞が連日キャンペーンを張るなど力を入れており、母県では高い関心を呼んでいる。九月に浜松市で国際法律セミナーが開催され、ブラジル側からは伯日比較法学会の渡部和夫理事長ら四人が出席。代理処罰を迅速・簡略化するための司法共助協定の叩き台を提案した。
 六十八万人分の署名を受け取っている日本国外務省も、この問題を重視し、水面下で交渉を進めている。
 役員会ではその他に、来年八月に予定する創立五十周年式典に関連して、記念誌編纂、県人の先駆者である第一回移民通訳の平野運平の墓参、地域最大のスーパーチェーンY・YAMADA訪問の件などを話し合った。