2006年12月19日付け
今年も残すところは僅か、もうすぐ新しい年への引渡しが始まる。振り返って見ると、北朝鮮の核実験やミサイル発射もあったし、イラクの混乱もひどい。もう「内戦」と決め付ける観測があるけれども、スンニ派とシーア派の勢力争いであり「市民殺し」と見る向きも多い。それでも、荒廃から復興への歩みもあり派遣されていた陸上自衛隊が帰還した。1人の犠牲者も出さなかったし、自衛隊に対する国民の目が冷静になってきたのは喜ばしい▼イランがウラン濃縮に取り組み核疑惑を高めたのも大きい。北朝鮮とイラン核開発の基礎は、パキスタンの専門家が機材と知識を伝授したらしく、こちらも話題になった。あるいは米露など核5大国が懸念する核兵器拡散の危機はもう国際的に広がっているのではないか。日本にとっての脅威は、云うまでもなく北朝鮮の核とミサイル実験である▼北の核実験はそれほど大きなものではなく、失敗したの見方もある。だが、北朝鮮が米政府の金融制裁に反発し核地下実験に踏み切ったのは事実であり、日本への脅威は一挙に高まったのは否定できない。拉致問題もあって日本の北朝鮮制裁も相当以上に厳しい。朝鮮総連への課税が本格化しているし、万景峰号など北の船舶入港を拒否しているのも、北にとっては真に痛い▼こうした安全保障の危機を黙っているわけにも行かず日本も米軍と協調し、ミサイル迎撃へと移行し艦船の新造や改装を実施し、北東アジア軍事情勢は緊迫している。四海波静かに―は夢なのだが、北朝鮮の無謀や中印の核もあるし、ここ暫くは安眠も望めない―そんな気もする。 (遯)