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隠れた罠、アルコール=未成年には成長後も悪影響

2006年12月20日付け

 【ヴェージャ誌一九八五号】アルコール摂取が未成年者の脳に及ぼす影響で、サンパウロ連邦医科大学は警鐘を鳴らしている。家庭でも、未成年のビール飲酒をとがめる例は少ない。中には飲酒を勧める大人さえいる。大人がビールを飲むのと未成年が飲むのとは、訳が違うのだ。
 未成年の飲酒は、成長後の凶暴性の原因になる。未成年時に再々飲酒した人は、脳に不治の疾患が生じる。大学へ入ると、脳の機能に困難を伴い記憶力も劣る。自制力は劣り、自発性が弱い。脳の神経系統が冒されているのだ。
 未成年の飲酒は、普通の人より五倍もアルコール中毒になる危険性がある。自分は未成年のとき人一倍飲酒したが、アル中にならなかったと反発する者もいる。これらの人は運良く危機を逃れたのだ。それは奇跡の放免だが、リスクから逃れたのではない。
 ブラジルの統計では、初めての飲酒体験は平均十二歳で親に内緒が多い。場所は自宅やガソリン・スタンド、学校近くのスナック、クラブ、パーティ。一般的な飲み方は、フルーツ・カクテル。ムードを出すなら、ウオッカとフルーツ・ジュースのカクテル。
 初心者は、甘くして飲む。次はウイスキーなどの蒸留酒を、ソーダ水でビール程度に割ってフルーツのエッセンスを混ぜて飲むアルコポッピ。それから強精飲料と蒸留酒をカクテルしたセブリッジ。どれも趣向を凝らし、飲み易くしてある。ビールにない持ち味が未成年を引きつける。
 最近はスーパーの飲料コーナーに、この危険なアルコール飲料を何気なく並べている。アルコポッピは陽気にさせ、セクシーで格好よさを感じさせる。しかし、飲んだ結果は狂気の世界へ誘われる。
 クリスマスから年末にかけて「死の週」と呼ぶ。世界で多勢の若者が、飲酒運転で生命を落とす。一月の死亡届は、前月比七〇%増となる。外国では飲酒運転がブタ箱入りだが、ブラジルの法律では飲酒運転が犯罪にならない。
 九〇度のカーブを曲りきれるのは一リットルの血液にアルコールが〇・二グラムまで。信号を認識できるのは〇・三グラム、車列に合わせられるのは〇・四グラム、時速八〇キロ以下で安全運転ができるのは〇・八グラムまでとされる。ビールのテレビ宣伝を禁止した国は交通事故が三〇%減ったという統計がある。
 アルコール飲料は、合法化された麻薬と思ってよい。どの親も子供の麻薬との接触には神経質だが、アルコールは放任する。これは法に抵触する、しないの問題ではない。子供を責める前に親がアルコールに対して、どんな考え方を持っているかが重要だ。
 子供の人格形成に、両親の影響は大きい。子供が両親を友人に紹介するとき、子供が両親を誇りとするか、軽薄な両親を恥とするか。両親の人格的重みが、子供に表れる。アルコールが原因である青少年の非行は、親と無責任な政治に責任の一端がある。

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