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給与倍増=最高裁が無効と判断=本会議の表決必要=調整率は28・4%か=三権のケンカは両成敗

2006年12月21日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十日】最高裁は十九日、国会議員の給与を倍増する立法府令の法的効力は、連邦令補足四一号により無効だと判断した。最高裁仮判決によれば、国会議員の給与調整は特別令として上下両院の本会議で表決すべきものであるという。仮判決はサンパイオ下議(ブラジル民主社会党=PSDB)やガベイラ下議(緑の党=PV)、ジュングマン下議(社会大衆党=PPS)などから提出された権利保障令の要請に対するもの。同要請と世論の圧力により、議員の給与調整はインフレの目減り分二八・四%のみとなり、一万六五〇〇レアルになる見通し。
 両院執行部が採用した給与調整の立法府令は二〇〇二年に制定された。その後国家公務員の給与上限を規定した連邦令補足案四一号が承認された二〇〇三年、立法府令は法的効力を失った。立法府令は両院の表決を受けることが義務づけられ、議会執行部の独断決定はできなくなった。
 議員のベア二万四五〇〇レアルは、五日間のはかない夢となった。下議三人による権利保障令の要請受理は、議会執行部に大きな衝撃を与えた。面子を潰された議会執行部や党が黙って引き下がるはずもないが、今後の出方が注目される。議会に圧力を掛けた有力民間団体は、攻勢の態勢を緩めないという。
 最低賃金で生活する人に八%調整で大騒ぎをしたのに、国会議員の九一%ベアは議論の余地がない。仮判決が司法府と立法府の間に火種をまくことはないと最高裁はみている。
 最高裁仮判決は、最終的に満場一致としたが、見解は動揺し頼りなかった。最初に立った判事六人は、立法府令の停止と判断した。次にアウレリオ判事が補足案四一号により立法府令は無効とし、先の六判事のうちペルーゾ判事とバルボーザ判事が判決を撤回した。残る判事は、グラシエ裁判長を含めアウレリオ判事の見解を取り入れた。
 収まらないのは議会執行部だ。最高裁仮判決は政治的配慮だと糾弾した。最高裁判事の給与を四年間凍結する議案が二十日、議会執行部で検討される。判事がもらう二万四五〇〇レアルが、なぜ国会議員に身分不相応なのかと開き直った。午前提出した権利保障要請を、午後に即時審理するのも不自然という。
 ルーラ大統領が、五〇億レアルに上る司法官の給与調整を拒否したことへの報復だという見方もある。司法官の給与調整は世論が看過したのに、国会議員だとなぜ騒ぐのか。有力民間団体がなぜ不公平に世論をそそのかすのか。
 最高裁仮判決の報告を受けた大統領は、三権のケンカは両成敗にするという。初日は司法府が出血し、二日目は立法府が出血する。三日目は行政府が出血し、三権同程度に出血させる。それが理想的な民主政治ではないかと述べた。
 目玉焼きを食べるのは、国民である。どんな味の目玉焼きにするか最高裁が決め、全員が従うメカニズム設定が将来のブラジルの姿だと大統領が述べた。ジェンロ憲政相によれば、大統領は議会の独走を懸念していたようだ。いずれは三権共通の単一給与上限を設けるらしい。