2006年12月22日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十四日、十五日】夏のシーズンが到来していないにもかかわらず、一足早い集中豪雨で機能がマヒする被害が続出し、晴天の日は炎暑が続く昨今だが、地球全体の気候の変化で、この状態は少なくとも二〇〇七年三月から四月まで続くと予想されている。国連下部機関の国際気象機構が十四日に発表したもので、ブラジルは〇六年の年頭同様、異常乾燥や水害などの自然災害に見舞われると警鐘を鳴らしている。いっぽうで国際赤十字が十三日に発表した世界天災白書によると、ブラジルの天災による被害者は過去十年間で倍増したとの実態が明らかになった。
国際気象機構によると、エルニーニョ現象の影響をもろに受けて、ブラジルは〇七年三月から四月まで異常気象に見舞われると予測している。東部海岸地帯は集中豪雨による水害の被害が続出、北東部および中心部は異常乾燥になるとみている。南部では〇六年第1・四半期に異常乾燥となり、穀物などの農産物に多大な影響をもたらした。これが原因で大豆は一一%の減産となったが、〇七年度も繰り返す可能性があると警告している。
気温の上昇はグローバルな現象だが、二〇〇六年一月三十一日にピアウイ州ボン・ジェズス市で記録された四四・六度は国内観測史上最高となった。世界的には過去六番目の暑い年となり、異常乾燥の反面で、米国やボリビアならびにアジア諸国で水害が発生して多大な被害をもたらした。英国やオランダおよびデンマークでは過去三五〇年以来の暖秋となった。アルプス山脈では例年の平均より三度気温が上昇したことで降雪が少なく、スキーなど観光業界に打撃を与えた。
同機構によると、地球の温暖化は二十世紀初めごろから始まり、平均気温は〇・七度上昇した。しかし本格化したのは一九七〇年代に入ってからで、現在では一四度の上昇を見せている。
いっぽうで国際赤十字の天災白書によると、ブラジルの天災による被災者は、九六年から〇五年の間に一二八〇万人に上り、八五年から九六年の十年間の五二〇万人に比し、二倍の数字となった。二〇〇五年のみで四万一九〇〇人、死者は一一五人だった。死者の数は八五年から九六年の十年間の三二〇〇人から九六年から〇五年の間は二二〇〇人に減少したものの、北・南米諸国では被災者は群を抜いている。
キューバは一〇〇〇万人、ペルーは五七〇万人、米国およびメキシコはそれぞれ五〇〇万人だった。世界ランキングではブラジルは一三番目となっている。トップは中国(一〇億人)、インド(六億八六〇〇万人)、エチオピア(七八〇〇万人)、バングラディッシュ(七〇〇〇万人)、その他は順にイラン、ベトナム、タイ、パキスタン、フィリピン、ケニア、ザンビア、カンボジャとなっている。
統計によると、天災は年々増加し、規模も拡大している。〇五年度は前年対比一五%の上昇を見た。〇五年度の世界での犠牲者は九万九四〇〇人で、このうち八四%は十月に南アジアで発生した地震によるものだった。赤十字によると、一億六一〇〇万人が天災に遭遇し、過去十年間で死者の数は九三万四〇〇〇人に達したと報告している。